2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大鹿 健一 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70183225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 秀樹 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40385480)
相馬 輝彦 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (50154688)
和田 昌昭 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80192821)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クライン群 / タイヒミュラー空間 / 写像類群 / 双曲多様体 |
Research Abstract |
本年度は以下のような研究を行った. Teichmuller ray compactificatonのreductionの研究.Teichmuller geodesic raysの空間は基点ごとに異なり,基点の交換について,自然な同相関係は無いことが知られていた.今回,2つのraysの無限遠端点に対応するprojective foliationsが位相的に同じときに同一視して得られる空間: unmeasured foliation spaceを考え,その上には写像類群のTeichmuller空間への作用が自然に連続に拡張することを示した. 自由群のPSL(2,C)への指標多様体の中で,primitive stable表現達の分布について考察した.特にCyril Lecuire, Inkang Kimとの共同研究で,Schottky空間の境界の点は全てprimitive stableな閉多様体表現の列の極限として表せることを示した. Teichmuller空間の距離空間としての理解のため,Teichmuller距離のGromov積と交点数関数の関係を鑑みて,距離空間に作用する新しい写像の概念を導入した.この写像はGromov双曲空間に対しては境界に拡張するための条件を持つ写像であり,自然な写像であることが明らかになった.距離空間の一般論を展開して,Teichumuller空間の場合に適応して写像類群の新しい特徴付けを与えた.さらにこれを発展させ,単位円板からTeichumuller空間への正則写像について研究し,新しい剛性定理を得た. 研究成果については,学術論文の他,国際研究集会,国内研究集会でも多く発表をしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Klein群の変形空間に関する当初目標としていた研究は順調に進展し,さらに指標多様体全体の中で変形空間をとらえ,理解するという新しい方向に歩み出しつつある.また3次元多様体論と結びつけた研究も開始しつつあり,すでにいくつかの成果をあげている. Teichumuller空間に関する研究はGardiner-Masur境界の解析に端を発し,さらにGromov積を考察することにより,Teichmuller空間の漸近幾何的構造が明らかになりつつある.さらに写像類群の作用と剛性についての研究も進展しつつある. この研究では,海外の関連分野で研究で全く新しい手法が現れることが何回かあった.そのたびに研究計画を変更し,海外からの研究者招聘などで,最新の研究手法を取り入れる努力を行っている. 以上のように,研究は順調に進んでおり,また学術誌での出版,投稿も着実に行われている.代表者,分担者は国際学会での発表も数多く行っており,研究の公表状況は良好である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下のような方向に研究を進めていきたい. 指標多様体と変形空間をつなぐ研究:今年度の研究,及び現在進行中の研究により,指標多様体全体の位相的構造とその上の写像類群作用のダイナミクスを理解することが,変形空間の研究に大きく役立つことが明らかになってきた.今後はこの方向の研究を進めるため,錐多様体の変形空間の理論などとも関連づけて研究を進めたい. 3次元多様体への応用:Heegaard分解やBridge分解に関連した写像類群の研究に,これまで行ってきたKlein群の理論を応用することを試みている.この研究を進め,Heegaard分解の理論に新たな径を開くことを目指す. Teichmuller空間の様々な距離の漸近構造の解明:Gardiner-Masur境界の研究や写像類群の作用の剛性の研究により,Teichmuller距離,Weil-Petersson距離,Thurston距離などTeichmuller空間に入る自然な距離の漸近的構造の解析,比較が重要なテーマであることが明らかになった.今後この研究をより微分幾何的手法を取り入れることにより進めたい.
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Research Products
(16 results)