2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川島 秀一 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (70144631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隠居 良行 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (80243913)
中村 徹 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教 (90432898)
小川 卓克 東北大学, 理学研究科, 教授 (20224107)
池畠 良 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10249758)
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Keywords | 非線形偏微分方程式 / 粘弾性体方程式系 / 対称双曲系 / Euler-Maxwell方程式系 / 消散構造 / 減衰評価 / エネルギー法 / 時間大域解 |
Research Abstract |
非線形偏微分方程式系の消散構造を解析し、対応するエネルギー減衰構造を決定するとともに、そこに現れる非線形波動の安定性解析についての新理論の構築を目指して研究を行い、次のような成果を得た。 1.ある粘弾性体方程式系の初期値問題を考察した。摩擦型の消散項と記憶型の消散項の和が系全体を支配する形の条件を定式化し、その条件の下、非線形問題の時間大域解の存在とその解の自明解への漸近減衰評価を示した。証明は時間重み付きエネルギー法と、線形系の減衰評価に基づく半群的手法に依る。一般の形の2階双曲系を扱った点と、摩擦型、記憶型いずれか一方のみの消散性を考慮した従来の結果を拡張した点に意義がある。 2.半導体のdrift-diffusionモデルの初期値問題を考察した。与えられたdoping profileに応じた定常解の存在とその漸近安定性を、摂動部分に対する最良の時間減衰評価を与えることで証明した。その証明は時間重み付きL^pエネルギー法と実解析における評価式に基づく。L^p空間での最良の時間減衰評価が、指数pが空間次元を超えるときに困難になることを発見した点に結果の重要性がある。 3.一般の線形対称双曲系に対し新型の可微分性損失型消散構造の定式化に成功し、対応する時間減衰評価式を導いた。さらにその結果が、Timosnenko系やEuler-Maxwell方程式系に直接応用可能であることを示した。可微分性損失型消散構造の一般論の構築に向けての第一歩を記した点に最大の意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の最重要課題である「新型の可微分性損失型消散構造」について、新たな知見が得られた点が大きい。同時に、その応用に関して多くの個別の成果をあげることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、今後も当初の計画通り研究を進める予定である。
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Research Products
(44 results)