2011 Fiscal Year Annual Research Report
光格子中超低温イッテルビウム原子気体を用いた量子凝縮相の研究
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22244050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 義朗 京都大学, 理学研究科, 教授 (40226907)
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Keywords | 量子縮退 / BEC / フェルミ縮退 / レーザー冷却 / イッテルビウム |
Research Abstract |
まず、研究計画全体に関わる基礎的な実験技術の整備として、「大量の原子数の量子縮退したYb原子気体を安定に光格子中に生成する技術の確立」を行った。特に、フェルミ原子の173Ybでは、フェルミ温度の20%の温度にまで冷却した気体を3次元光格子にほぼ断熱的に導入することに成功した。そして、次に、異重項遷移光会合による"散逸"の導入による超流動・絶縁体転移の人工的制御」、すなわち量子ゼノ制御について、最適なパラメーターを探して実験を行い、ほぼ実現することができた。「3重占拠格子点での3体束縛状態への光会合」についても研究を進めることができた。Yb原子に特有の高効率光会合を光格子中のn=3のモット状態に適用し、分子と原子の散乱長から期待される3体状態の束縛エネルギーの周辺を精密に光会合の共鳴を探索した。現在のところ検出には至っていないが、検出には十分な感度を有することが判明したため、今後、より広い範囲を探索することにより検出できると考えている。また、「特殊光学吸収イメージングによる2次元光格子の超高空間分解能観測」についても進展し、2次元系の生成、高いNAのレンズ系による吸収イメージング画像の観測、トラップ原子からの微弱発光の観測、などに成功した。さらに、「ロスのほとんどない光フェッシュバッハ共鳴による相互作用制御」のための長寿命の準安定状態における分子の共鳴の探索を行った。現在のところ観測には至っていないが、分子を直接観測する方法を確立し、光格子中で基底状態分子が約8秒という非常に長い寿命を持つことを見出した。この手法は、準安定状態における分子の共鳴の探索に非常に有効であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた課題のほとんど、すなわち、超低温量子縮退原子の安定的生成、量子ゼノ効果の観測、2次元ボース凝縮の2次元光格子導入と吸収イメージング画像の観測、分子の直接的高感度検出法の確立、を実現できている。3体光会合共鳴の高感度探索、や光フェッシュバッハ共鳴のための長寿命の準安定状態における分子の共鳴の探索、などは、共鳴を見つけてはいないが、探索方法は確立させることができているため、研究は順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んでおり、特に大きな変更は必要なく、当初の計画通り進めることで、研究目的を達成できると考えている。3体光会合共鳴の高感度探索、や長寿命の準安定状態における分子の共鳴の探索、などの方法は確立させることができているため、あとは、実際に実験を行うことで達成できると考えている。
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Research Products
(30 results)