2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244071
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
大河内 直彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, プログラムディレクター (00281832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 桂太 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70323780)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 物質循環 |
Research Abstract |
平成24年度~25年度当初は,南極海のIODP航海(exp. 318)によって採取された堆積物(アデリー・ドリフト, U1357A)中に含まれるクロロフィルaおよびその誘導体の窒素同位体比を測定した。その結果,過去2000年間にわたる海洋表層の窒素サイクルに関する知見をえた。小氷期,中世温暖期といった北半球に見られる気候変動とほぼ同調して,南極海表層において窒素バランス(硝酸供給と生物生産のバランス)が変動していたことが明らかになった。すなわちフェオフィチンaおよびパイロフェオフィチンaの窒素同位体比が,小氷期には平均すると-5‰程度であるのに対し,中世温暖期は平均-3‰程度と2‰ほど高くなる。この結果は,この海域の表層水において,deep mixingを通した硝酸の供給に対して生物生産が,中世温暖期には相対的に小さく,小氷期は相対的に大きくなったことを示唆している。過去2000年間に表層水をmixingさせる大気循環が強化された証拠は現時点では知られていないので,中世温暖期に生物生産が相対的に低下し,小氷期には増加した可能性が考えられる。また,深層水循環に変化が起き,それが同位体比の変動につながったという可能性もある。いずれにせよ,こういった海洋表層水中の窒素ダイナミクスの変動はバルク窒素同位体比では見られないものであり,化合物レベルの窒素同位体比の威力が改めて確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)