2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22245023
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 克也 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40265731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 耕一 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (40177796)
岸根 順一郎 九州工業大学, 工学研究院, 准教授 (80290906)
秋光 純 青山学院大学, 理工学部, 教授 (80013522)
美藤 正樹 九州工業大学, 工学研究院, 准教授 (60315108)
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Keywords | 磁気キラリティ / キラル磁性 / 結晶キラリティ / DM相互作用 / 弾性キラリティ / キラル磁気構造 / 磁気構造 / マルチフェロイックス |
Research Abstract |
本研究では、結晶構造、含まれるイオンの磁気異方性、配位子の非対称電場を系統的にかつ集中して制御することにより、より効果が顕著に現れる設計指針を確立し、Chiral磁性、マルチフェロイック研究を飛躍的に進展させる知見を得ることを目的として研究を進めた。(1)結晶・磁気chiralityの定量化:磁気異方性、結晶構造の異なるChiral反強磁性体を新たに8種作成し、キラル結晶およびラセミ結晶の磁性を比較することにより、DM相互作用の定量化を行った。また、結晶の磁気chiralityを検出できる偏極中性子線回折とナノスケールでの磁気および結晶chiralityを検出できる放射光円偏光X線回折を併用することにより、結晶chiralityと磁気chiralityの関係について不完全ながら解明できた。(2)分子性・無機Chiral磁性体の物質設計・制御戦略の確立:以下の順番で明らかにしてゆく。1.Chiral磁性体の磁気相図を明らかにし、2.DM相互作用におよぼす磁気異方性の効果について明らかにした。これらを明らかにすることにより、Chiral磁性体の構築に用いる金属イオン、配位子、空間群のChiral磁気構造への寄与の全貌が明らかになり、設計指針について重要な知見が得られた。またキラル磁性体の重要なスピン構造としてキラルらせん磁気構造および磁場下でのキラルスピンソリトン格子について実空間および電子線回折による逆空間観察に成功した。この結果は、アメリカ物理学会の"Spotlighting exceptional research"の今週の物理の新観点で紹介された。(2012年3月6日)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の結晶chiralityと磁気chiralityの関係はほぼ解明され、設計指針が得られた上、キラル磁性体のもっとも重要な特徴であるスピン構造としてキラルらせん磁気構造および磁場下でのキラルスピンソリトン格子について実空間および電子線回折による逆空間観察に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気chiralityの安定化原因であるDM相互作用は一般の磁気相互作用の交換/双極子相互作用の100分の1程度であることが、本研究によって明らかにされ、そのためキラルらせん磁気構造のピッチが数十ナノメートルと非常に長くなり、中性子回折による構造決定は非常に困難であることが判明した。このサイズの磁気構造観察には電子線がもっとも適していることが判明した。そのためローレンツ顕微鏡測定の第一人者である大阪府大の戸川欣彦講師を分担者に加えたい。
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Research Products
(88 results)