2010 Fiscal Year Annual Research Report
サブ10ピコ秒時間分解能をもつ超高速電荷変調型撮像デバイスに関する研究
Project/Area Number |
22246049
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
川人 祥二 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (40204763)
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Keywords | 時間分解撮像 / イメージセンサ / 電荷排出制御 / バイオイメージング / 距離画像計測 / 蛍光寿命イメージング |
Research Abstract |
本研究は、極めて短時間のうちに生じている光の変化を捉える機能をピクセルに導入した新概念の半導体撮像デバイスと応用に関するものである。本研究者の考案による電荷排出動作のみを用いる排出制御型電荷変調素子DOM(Draining Only Modulator)は、1フォトンで発生した光電子の動きをサブピコ秒の時間分解能で検出する上で本質的な構造であり、その実用化は次世代バイオイメージング、微小空間用3次元カメラ等、新しい画像・計測機器の創出をもたらすものと期待される。DOM素子は、光電変換部から電荷蓄積部に至る電界方向制御を、その転送路の側面に設けた電荷排出ゲートのみによって行うことで、電荷転送方向のゲート電極構造をなくすことで、単一光電子の高速転送制御を実現している。本年度は、提案素子構造実現のため、まずデバイスシミュレーションによって光電変換部の形状とサイズ、電荷排出ゲートの長さ、電荷転送路の形状と長さ、電荷蓄積部のサイズ等を変化させ、DOM素子内の横方向電界、平均転送時間、蓄積電子数、ポテンシャルバリヤの有無等との関係の解析を行った。また、DOM素子の最適構造を実験的に検討するため、シミュレーションで得られた幾つかの候補となる構造の素子からんる基本特性評価用イメージセンサを0.18μm CMOSイメージセンサプロセスによって設計・試作を行った。その結果、電荷排出ゲートの電圧を3.5V以上とすることで、転送路におけるバリヤのない電荷排出ができ、信号の検出排出比として30:1以上が得られること、また電荷排出ゲートをパルス駆動することにより、デバイスの固有時定数として、約1.8nsが得られることが分かった。これらは今後改善の余地があるが、数n秒の蛍光寿命の計測に十分応用可能であると考えられ、今後の応用実験に向けた基礎となるデータを得ることができた。
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Research Products
(8 results)