2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリシリカ反応による劣化を受けるコンクリート構造物の維持管理シナリオの構築
Project/Area Number |
22246059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮川 豊章 京都大学, 工学研究科, 教授 (80093318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 英典 神戸大学, 工学研究科, 教授 (70220043)
上田 隆雄 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20284309)
服部 篤史 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30243067)
黒田 保 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (30263487)
小林 孝一 岐阜大学, 工学部, 准教授 (20283624)
山本 貴士 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70335199)
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Keywords | アルカリシリカ反応 / 維持管理シナリオ / 鉄筋破断 / 耐荷性能 / 補修・補強 / ASR膨張 / ASR膨張ひび割れ / 付着特性 |
Research Abstract |
代表的なコンクリート構造物の劣化機構であるアルカリ骨材反応(以下,ASR)の劣化が見られる構造物の一部で過大な膨張による鉄筋の破断の被害が報告された.鉄筋コンクリート構造物の耐荷力の前提条件となる鉄筋における被害は,構造物の耐荷性能を考える上できわめて重要な問題である.本申請課題では,ASRにより劣化したコンクリート構造物について,その安全性能にかかわる耐荷性能を明らかにするとともに,鉄筋が破断した場合を含めた耐荷性能に問題が生じる状況下での補修・補強ならびにこれらの対策適用後の維持管理も含めた総合的な維持管理シナリオの作成を目指す. 以下に,本年度の検討において得られた主な成果を示す. (1)ASR劣化進行を予測する手段としての促進試験方法において,試験に用いる溶液濃度および試験温度が膨張挙動に与える影響を検討した結果では,これらの影響を定量的に示すことができたとともに,試験温度とその与える期間の関数において膨張率を予測できる可能性を示した. (2)ASR劣化を生じたコンクリートの力学性能の評価においては,鉄筋位置に達する鉄筋に沿ったASR膨張ひび割れの発生により,鉄筋とコンクリートの付着が低下することを明らかにした.また,この低下の程度は,ASR膨張ひび割れの幅において整理できることを示した. (3)リチウム塩によるASR膨張抑制効果を期待した補修工法の検討では,リチウム塩の添加により細孔溶液中のナトリウムイオンによるASR反応そのものの進行を抑制し,固定化されないナトリウムイオンが細孔溶液中に残存する可能性を示した.ただし,材齢4ヶ月では材齢1ヶ月の値からの濃度減少が見られるため,ASR以外の反応でNa+が固定化された可能性がある.
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Research Products
(1 results)