2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリシリカ反応による劣化を受けるコンクリート構造物の維持管理シナリオの構築
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22246059
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
宮川 豊章 京都大学, 工学研究科, 教授 (80093318)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 英典 神戸大学, 工学研究所, 教授 (70220043)
上田 隆雄 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20284309)
服部 篤史 京都大学, 工学研究所, 准教授 (30243067)
黒田 保 鳥取大学, 工学研究所, 准教授 (30263487)
小林 孝一 岐阜大学, 工学部, 准教授 (20283624)
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| Keywords | アルカリシリカ反応 / 維持管理シナリオ / 鉄筋破断 / 耐荷性能 / 補修・補強 / ASR膨張 / ASR膨張ひび割れ / 付着特性 |
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| Research Abstract |
本申請課題では,ASRにより劣化したコンクリート構造物の安全性能を明らかにするとともに,鉄筋が破断した場合を含めた耐荷性能に問題が生じる状況下での補修・補強ならびにこれらの対策適用後の維持管理も含めた総合的な維持管理シナリオの作成を目指す.
以下に,本年度の検討において得られた主な成果を示す.
1.反応性骨材を含有するコンクリートに対して,近赤外分光法による吸光度スペクトルを測定した結果,差吸光度△(1454-1430)によって,膨張率が0.1%以下の初期のASRを検出できる可能性が示された.
2.電気防食において,電流密度0～100ma/m2の範囲内で鉄筋コンクリートに通電を行い,電流密度と鉄筋近傍におけるアルカリ濃度およびASR膨張との関係について検討を行った.その結果,通電を行なう前に,一定期間(8週間),1A/m2の電流密度で通電を行なうことにより,ASR膨張を抑制できる可能性が示唆された.
3.磁気法片面診断の測定磁束密度に与える各要因の影響を把握するとともに,鉄筋破断の判断指標の選定および判断基準の与え方を検討した.その結果,補正ピーク値を指標として,かぶり50～150mmのD16鉄筋の破断を対象とした磁気法片面診断の判断基準を提案した.
4.ASRを促進させた供試体の劣化状態を非破壊検査により把握したうえで載荷試験を行い,劣化状態を考慮した力学的性能の評価を行った.その結果,引張鉄筋位置にASR先行ひび割れが存在すると付着すべりが生じやすく,付着・割裂破壊で終局しやすいことがわかった.
5.劣化により耐荷力の低下したRC部材に高靱性繊維補強モルタルを吹きつけ施工することによって断面修復を実施し,部材の耐荷力を回復させた.その結果,劣化による耐荷力の低下が15%程度以内であれば,部材の耐荷力を回復させることができることが確認できた.
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,アルカリシリカ反応により膨張劣化したコンクリート供試体を用いて,各種の点検,補修・補強技術および耐荷性能の評価を行うため,通常長期にわたるASR膨張劣化を促進により実験室で再現できるか否かが進捗に大きく影響する.これに対し,ASR促進劣化の手法に造詣の深い研究者を分担者としていることで,各種の検討が比較的順調に進み,それにより期待した結果が多く得られたといえる.ただし,鉄筋腐食を複合させた供試体以外のASR劣化単独の供試体では,劣化期の耐荷性能を検討できるまでには至っておらず,この点を考慮して上記の達成度区分と判断した.
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究では,鉄筋破断に至るまでの大きな劣化を生じたASR劣化コンクリート構造物の維持管理シナリオの構築を対象としている.達成度の評価でも記したとおり,実験供試体の促進膨張劣化は比較的順調に進んでおり,進展期,加速期の劣化段階までの耐荷性能評価や補修・補強の手法を検討できている.今後,鉄筋破断を生むような劣化期を,現在も継続している促進劣化により達成し,このような条件下での耐荷性の評価や対策技術の確立を実現することを目指す.また,このような個別の技術要素を効果的に導入した維持管理の戦略,すなわちシナリオをデザインしていく.
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Research Products
(4 results)
