2010 Fiscal Year Annual Research Report
システムバキュロウイルス学の幕開け -タンパク質超発現システムの解明と再構築-
Project/Area Number |
22248003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伴戸 久徳 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20189731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 宜宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30253595)
佐藤 昌直 基礎生物学研究所, 発生遺伝学研究部門, 助教 (20517693)
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Keywords | タンパク質高発現 / バキュロウイルスベクター / トランスクリプトーム / システム生物学 |
Research Abstract |
本研究では、タンパク高発現系で知られるバキュロウイルス発現ベクター(BEV)システムを対象に実験生物学と数理解析を組み合わせたシステム生物学的アプローチにより「ウイルス遺伝子発現ネットワークモデル」を構築し、そのモデルから得られたBEVシステムの改良方策を実験的に検証し、有用タンパク質の超発現系の創出を目指す。 1)まず、ウイルス遺伝子及び宿主カイコ細胞の遺伝子発現を次世代シーケンサーで網羅的に解析するための「RNA抽出/ライブラリー作製技術」を確立した。 2)この方法を用いて、BEVシステムに利用できる2種類の宿主細胞「高発現性細胞と低発現性細胞」を対象に、野生型ウイルスが増殖する過程でのウイルス遺伝子及び細胞遺伝子の発現を経時的に解析した。その結果、両者の違いはウイルス遺伝子発現の開始時期と感染ステージ進行の速度に有る事が判明した。 3)また、トランスクリプトーム解析に最適な感染条件および解析時間が明らかになった。また、高発現性にかかわる可能性のある宿主細胞遺伝子が複数同定され、それらの遺伝子機能を検証するためのsiRNA作製と、これを用いた宿主遺伝子発現抑制実験の条件検討を行った。 4)一方、遺伝子欠損ウイルスライブラリーの充実を図るとともに、それらを用いたタンパク質発現量解析実験系を確立した。 以上の結果、BEVシステムでのタンパク質超発現に有効に働く宿主遺伝子候補が得られ、タンパク高発現にかかわるウイルス遺伝子ネットワークを明らかにするための「遺伝子欠損ウイルス群を用いたトランスクリプトーム解析」を実行するためのプラットホームが確立された。
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Research Products
(3 results)