2011 Fiscal Year Annual Research Report
システムバキュロウイルス学の幕開け -タンパク質超発現システムの解明と再構築-
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22248003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伴戸 久徳 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20189731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 宜宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30253595)
佐藤 昌直 基礎生物学研究所, 発生遺伝学研究部門, 助教 (20517693)
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Keywords | 遺伝子欠損ウイルス / バキュロウイルベクター / トランスクリプトーム / タンパク質高発現 / システム生学 |
Research Abstract |
本研究では、タンパク高発現系で知られるバキュロウイルス発現ベクター(BEV)システムを対象に実験生物学と数理解析を組み合わせたシステム生物学的アプローチにより「ウイルス遺伝子発現ネットワークモデル」を構築し、そのモデルから得られたBEVシステムの改良方策を実験的に検証し、有用タンパク質の超発現系の創出を目指す。 1)本年度はまず、遺伝子欠損ウイルス全て(141種類)について増殖特性とタンパク質発現特性を解析し、これらのウイルスは大きく4種類にカテゴライズできること、また特定の遺伝子欠失により外来遺伝子の発現量が増加あるいは減少することが明らかとなった。 2)昨年の野生型ウイルスを用いた解析結果と、これらの結果からタンパク質高発現にかかわる候補ウイルス遺伝子を推定し、それらの遺伝子を欠失したウイルスについてmRNAの発現プロファイルを取得した。 3)2の結果を基に、バキュロウイルスを感染させて3時間後に Bmc140 と Bme21 細胞間での発現量に差があった遺伝子を50個選び、それぞれ dsRNA を作製した。BmN4-SID1 細胞を用いて、これら50個の遺伝子をノックダウン後、ルシラェラーゼ遺伝子を発現するバキュロウイルスを接種し 24 時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、choline/ethanolamine kinase、TIMEOUT/TIM-2 protein、U2-associated SR140 proteinの3遺伝子において、ノックダウンによりルシフェラーゼ活性の上昇がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で、ウイルス及び細胞のトランスクリプトーム解析及びタンパク質発現特性解析のためのプラットホームを確立し、野生型ウイルス感染細胞の解析結果から選抜した遺伝子欠損ウイルス(40種類)を用いて、感染細胞でのmRNA発現プロファイルを取得した。このことで、今後の研究の指針となるウイルス遺伝子ネットワークをある程度予想することが可能となったことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子欠損ウイルスクローンを導入した細胞を材料にしたトランスクリプトームデータを取得し、ネットワーク解析を進めているが、現時点で問題となっていることは大規模データの解析を加速化するために現在使用している並列コンピューターよりも高性能なコンピューターが日常的に必要であること、解析コストが許容範囲である取得リード数1000万リード程度の次世代シークエンサー解析ではウイルス遺伝子mRNAの発現測定にはリード数が不足であることの2点である。前者は共同研究者・機関を募ることで現在、解決を試みている。後者については宿主遺伝子mRNA発現変動が各サンプルから検出されれば遺伝子ネットワーク推定に支障はないが、ネットワークモデル検証実験のためにもqPCRに基づいたウイルス遺伝子mRNA直接測定方法の立ち上げを検討中である。
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Research Products
(4 results)