2011 Fiscal Year Annual Research Report
レーザインサイジングによるスギ耐火集成材および耐火面材の開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22248019
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
服部 順昭 東京農工大学, 農学研究院, 教授 (90115915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 恵介 東京農工大学, 農学研究院, 助教 (70262227)
原田 寿郎 森林総合研究所, 木材改質研究領域, 室長 (50353818)
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Keywords | 高性能レーザ / 建築構造・材料 / インサイジング / 耐火集成材 / 木造建築物 |
Research Abstract |
本年度は、平成22度度に実施した発振方法が従来の高速軸流型CO_2レーザとは根本的に異なるスラブCO_2レーザを用いた基本的な穴あけ性能を踏まえて、(1)レーザインサイジングを施した材の熱加工面の微視的観察と加工面からの浸透性把握、(2)レーザインサイジングを行った120mm正角柱材の蒸気噴射乾燥とマイクロ波乾燥を組み合わせた複合乾燥法の効果の検証、(3)1時間耐火の国土交通大臣認定を取得した断面の小断面化、(4)1時間耐火面材の開発を行った。 (1)では、細胞内腔の表面が薄く炭化されていること、有縁壁孔が適度に破壊されて、流体の通路になっていることが分かった。 (2)では、初期にマイクロ波加熱を行うことで、従来法の熱気乾燥より短時間で乾燥できる蒸気噴射乾燥より更に早く、含水率のむらなく乾燥できることが分かった。 (3)では、従来のパターンでインサイジングしたラミナに難燃薬剤を減圧・加圧注入し、そのラミナをシェル型に配置した小断面耐火集成材を製造し、建築基準法で規定されている性能規定を確認するための耐火性能試験を行った。結果は性能を十分満足するもので、国土交通大臣認定が取得できた。この一連の実験と大臣認定については研究協力者である鹿島建設が主導して行った。 (4)では、耐火集成材で蓄積してきた耐火性能を有する難燃処理ラミナでクロスラミナパネルを試作し、耐火1時間の加熱試験を行った。結果は、耐火集成材と同じく当該性能を十分満足するもので、この難燃処理ラミナが柱や梁のみならず面材にも適用できることが明らかになった。 以上の結果から、レーザインサイジングは、従来の前処理技術では得られなかったレベルで、木材内部の水分を外部に逃がす通路として機能するのみならず難燃薬剤注入の通路として高度に機能することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究内容は研究実績の概要に記載した(3)(4)であり、それらは達成できたことと、それに加えて、(1)レーザ加工により木材に微視的に見て何が起こっているのか、応用技術の例として、(2)穴深さがラミナの場合の2倍以上となるピンホールを柱材にあけて、その穴を乾燥に活用する場合の効果を調べた点が判断の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザインサイジングの基本技術は、世界で最も性能のよいCO_2レーザを用いることで、概ね完成できたので、実用化に向けた提案を残された研究期間に進める。その際に問題となるのは、製品の試作とその耐火試験を受審する経費が工面できないことである。これについては、研究協力者との相談により、粛々と進めるしか有効な方法は見当たらない。
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Research Products
(9 results)