2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22248033
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
海老原 史樹文 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50135331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋島 俊隆 名城大学, 薬学部, 教授 (70076751)
高田 耕司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30179452)
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Keywords | マウス / 行動 / ユビキチン / 養育行動 / ストレス |
Research Abstract |
本研究は、我々が同定した絶望行動を制御する遺伝子Usp46や感情障害や統合失調症に関与するとされる遺伝子を中心として、マウスの行動障害に関わる分子メカニズムを遺伝及び遺伝と環境との相互作用の面から分析し、ヒト精神疾患の発症原因の究明、予防・治療法の開発、創薬に向けた基礎的知見を得ることを目的とした。(1) Usp46の作用メカニズムの解明:USP46とスキャフォールドタンパク質であるWDR20の発現ベクターを作成し、それらを培養細胞内で発現させたところ、WDR20の存在下でUSP46のタンパク質量が大幅に増加することを確認した。また、プロモーター下流にβ―ガラクトシダーゼがマーカーとして組み込まれているUsp46ノックアウトマウスを用いて脳内発現領域を検討し、海馬や扁桃体などに発現が見られることを明らかにした。さらに、Usp46がGABA系を介して絶望行動を制御していることを行動薬理学的実験により証明した。(2) 第4染色体上にマッピングされた絶望行動を制御する量的形質遺伝子座(QTL)を特定するためにコンジェニックマウスを作製し原因領域を絞り込んだ。(3) Usp46変異マウスの養育行動:Usp46突然変異マウスと野生型マウス(C57BL/6Jマウス)の間で里親交換処理を行い、養育行動の形成への影響を検討した。その結果、Usp46突然変異マウスに育てられた野生型の仔マウスは、成長後に仔を温める時間が低下した。すなわち、遺伝要因以外に親から受ける環境要因が仔の養育能力形成に寄与していることが示唆された。(4)ストレス環境の影響: Usp46突然変異マウスと野生型マウスに母子分離や隔離飼育ストレスを与え、生育後に様々な行動を観察した。その結果、隔離飼育ストレスを与えたUsp46突然変異マウスでは衝動性の増大、他個体への攻撃行動や逃避行動の増加、営巣能力の低下が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画はほぼ達成された。しかし、第4染色体上のQTLについては遺伝子の同定につながるまで絞り込みが出来ていない。引き続きコンジェニックマウスを作製して原因遺伝子を含む染色体領域を絞り込む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Usp46は、概日リズムの異常を示すCSマウスの遺伝解析から同定した。従って、Usp46が概日リズムに影響する可能性がある.そこで、Usp46ノックアウトマウスの概日リズムを加えてUsp46と行動との関係をより明確にする。その上で。Usp46がどのような機構により行動に影響するかを、生化学的や神経化学的手法を用いて検討する予定である。
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Research Products
(7 results)