2012 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア大陸部における宗教の越境現象に関する研究
Project/Area Number |
22251003
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片岡 樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (10513517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮沢 千尋 南山大学, 人文学部, 准教授 (20319289)
長谷 千代子 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 講師 (20450207)
小林 知 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (20452287)
武内 房司 学習院大学, 文学部, 教授 (30179618)
中西 裕二 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (50237327)
村上 忠良 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (50334016)
吉本 康子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 研究員 (50535789)
林 行夫 京都大学, 地域研究統合情報センター, 教授 (60208634)
速水 洋子 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (60283660)
芹澤 知広 奈良大学, 社会学部, 教授 (60299162)
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60230786)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 宗教 / 東南アジア / 中国 / 民族 / 越境 / 国家 |
Research Abstract |
本研究は、大陸部東南アジアにおける宗教の越境現象について、①国境線そのものの越境、②民族境界の越境、③宗教観の越境の諸相を明らかにし、従来個々の国家、民族、制度宗教を単位として完結するきらいのあった東南アジア宗教論に新たな視座を導入することを目的とし、平成22年度から継続して共同研究を行ってきた。本年度はその最終年度にあたる。本年度は、現地フィールドワークによる補足調査を継続し資料収集を進めるとともに、成果の作成に向け論点の集約を行い、個々のフィールドワークから得られた知見を全体レベルで総合した。具体的には2012年7月21日~22日及び2013年2月3日に京都大学において研究会を行った。研究会において各メンバーは自身の担当領域について問題点を抽出し、それを共同研究全体のなかでいかに位置づけるかについて他のメンバーと討論を重ね、その最終成果として報告書(本研究課題と同名)を刊行した。 そこからは次のような知見が明らかになった。総論として言えば、従来じゅうぶんな根拠がないままなされてきた越境礼賛論とは異なる視座が存在しうることが明らかになった。 より具体的には、まず第一に、国家、民族、宗教の境界を越えるためには、そもそもそれに先立って境界が存在しなければならない。しかしそうした境界自体が往々にしてかなり近年の産物である。実際に近年東南アジアで生じている一連の越境現象は、むしろそうした囲い込みによる断絶を前提として初めて理解可能である。 第二に、宗教の越境は非常に多くの場合、近代国家によって囲い込まれた抑圧的な諸制度と、それをすり抜ける民衆の信仰というようなかたちで二項対立的に理解されやすいが、実際の当事者レベルではそうした対立図式は希薄である場合がある。自らが望む宗教のあり方を可能ならしめるために、宗教実践の担い手たちは近代国家の諸制度に対し、より柔軟な姿勢で臨んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(28 results)