2011 Fiscal Year Annual Research Report
シルクロード東部の文字資料と遺跡の調査-新たな歴史像と出土史料学の構築に向けて-
Project/Area Number |
22251008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒川 正晴 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10283699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武内 紹人 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10171612)
町田 隆吉 桜美林大学, 人文学系, 教授 (50316923)
高橋 照彦 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10249906)
松井 太 弘前大学, 人文学部, 教授 (10333709)
舩田 善之 九州大学, 人文科学研究院, 講師 (50404041)
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Keywords | 東洋史 / 古文書学 / 文献学 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、今年度もトゥルファン班では9月17日~24日にかけて、荒川(正)・白須浄真(連携研究者)が吐魯番学研究院(博物館)において、「研究実施計画」に従って1975年~1989年に出土したトゥルファン文書の実見調査を行った。成果として、これまで研究史料として依拠してきた図版・録文本の修正版を提出することができた。併せて文書が出土した場となる古墓群の遺跡調査を行った。それぞれの墳墓の分布状況と、埋葬者が居住したオアシス都市との位置関係を明らかにすることにより、トゥルファンにおける日常空間と非日常空間の広がり方に一定の規則性が存在することを確認した。 また敦煌班では、7月31日~8月12日にわたり、武内・坂尻・赤木・岩尾一史(連携研究者)が、「計画」通りにミーラーンの遺跡調査と敦煌の楡林窟に残る銘文資料を調査した。調査の過程で、未公表のチベット語文書資料に接近できたとともに、楡林窟でも従来の学説を再検討する手がかりを得ることができた。 ハラホト班では、個々に文字資料の調査を進めた。荒川(慎)は、12月に敦煌莫高窟・楡林窟の西夏文題記調査に従事し、佐藤は11月16日~19日に甘粛省博物館・西北師範大学博物館・西安博物院・陜西省博物館において、西夏文経典・西夏文首領印・西夏文円牌・金印の調査を行った。また舩田は8月18日に北京石刻芸術博物館でモンゴル時代聖旨碑の拓本、及び石刻史料現物調査、10月25日に台湾国立歴史博物館でモンゴル時代の銀錠調査、11月17日~23日に北京・河北省・天津市・遼寧省で景観・寺観・石刻調査を進めた。 このほか荒川(正)と森安孝夫・吉田豊(連携研究者)は、モンゴル国で突豚・ウイグル期の遺跡調査を行い、ハラボト・敦煌・トゥルファンと密接な関係を有するモンゴリアの同時代の状況を探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「おおむね」としたのは、トゥルファン班も敦煌班も当初の目標を十分に達成しているが、ハラホト文書の調査に関しては、海外共同協力者である内蒙古大学のフグジルド氏と正式な学術協定書を作成したものの、昨年度はそれがまだ軌道に乗っていないことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研課題を遂行するうえで、トゥルファン班・敦煌班の活動には基本的に問題はないので、これまで通り当初の計画を進めてゆく。ハラホト班については、初年度に学術協定書を締結したにもかかわらず、内蒙古のフフホトにおけるハラホト文書調査が順調に進まない可能性が出てきている。その場合は、文書が出土した遺跡周辺の景観調査や、内容的に連なる文書を所蔵するヨーロッパの研究所や図書館での資料調査に切り替えて、当初の計画を確実に遂行してゆく。
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Research Products
(34 results)