2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラクイラ震災被害における文化遺産建築の修復・補強と保護に関する調査・研究
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22254005
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
青木 孝義 名古屋市立大学, 大学院・芸術工学研究科, 教授 (10202467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 昇 日本大学, 生産工学部, 教授 (00230607)
岸本 一蔵 近畿大学, 建築学部, 教授 (40234215)
迫田 丈志 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70455806)
高橋 典之 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60401270)
松井 智哉 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20402662)
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Keywords | 国際研究者交流 / イタリア / 建築構造・材料 / 文化遺産建築 / 組積造 / 保存修復 / 地震 |
Research Abstract |
本研究は、地震によるリスクから文化遺産建築を保護することを最終目的に、a)2009年4月6日にイタリアで発生した地震により被害を受けたラクイラにおける文化遺産建築の地震被害調査(構造調査、材料調査、振動調査)の実施、b)被害状況と応急処置方法の系統的整理、c)1970年代以降に文化遺産建築に対して行われたRC補強の効果の検証、d)関連する文化遺産建築(ヴェネチア)の調査、e)現状(補強前)、補強途中(工事中)の構造的安定性と、補強後の補強効果を検証するために設置したモニタリングシステムの結果の考察、および関連する文化遺産建築へのモニタリングシステムの設置、f)劣化現況調査と採取サンプルの分析、g)構造解析モデルの設定、構造解析による構造特性、振動特性の把握と分析、に関する海外学術調査を実施したものである。研究実績の概要を以下に示す。 1.ラクイラにおける文化遺産建築について、引き続き主に目視による詳細な観察を行い、被災状況と復旧の現状を記録するとともに、応急処置方法を調査した。 2.1970年代以降に文化遺産建築に対して行われたRC補強により被害が増大したと言われているが、その評価と検証を行うために、該当建物の調査を行った。 3.不同沈下や塩害など厳しい条件下にあるヴェネチアの文化遺産建築(橋、鐘楼、地盤)の調査を、目視や非破壊試験により実施した。 4.Torre Civica、San Silvestro教会堂、Sant'Agostino教会堂の補強前、補強途中における構造的安定性を検証するために設置した静的・動的モニタリングシステムの調整と結果の分析を行った。 5.石材、煉瓦、モルタルのサンプルを採取し、その分析を行った。 6.組積造建築の耐震診断法に関する研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被災地の現地調査、文化遺産建築に設置した静的・動的モニタリングシステムが概ね順調に動き、不同沈下や塩害など厳しい条件下にあるヴェネチアの文化遺産建築の調査も進んでいる。また、文献や現地調査に基づき、組積造建築の耐震診断法に関する研究も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年1月25日に北イタリアでも地震が発生していることから、イタリア政府やイタリア側共同研究者の協力を得ながら、もう少し幅広く文化遺産建築の研究を展開していきたい。また、前回の科学研究費補助金で調査した文化遺産建築の研究成果と統合して研究を推進していきたい。
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Research Products
(11 results)