2012 Fiscal Year Annual Research Report
ラクイラ震災被害における文化遺産建築の修復・補強と保護に関する調査・研究
Project/Area Number |
22254005
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
青木 孝義 名古屋市立大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (10202467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中埜 良昭 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10212094)
松井 智哉 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20402662)
濱崎 仁 独立行政法人建築研究所, その他部局等, その他 (30370703)
岸本 一蔵 近畿大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40234215)
丸山 一平 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (40363030)
高橋 典之 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60401270)
湯淺 昇 日本大学, 生産工学部, 教授 (00230607)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / イタリア / 建築構造・材料 / 文化遺産建築 / 組積造 / 保存修復 / 地震 / 構造ヘルスモニタリング |
Research Abstract |
本研究は、地震によるリスクから文化遺産建築を保護することを最終目的に、a)2009年4月6日にイタリアで発生した地震により被害を受けたラクイラにおける文化遺産建築の地震被害調査(構造調査、材料調査、振動調査)の実施、b)被害状況と応急処置方法の系統的整理、c)1970年代以降に文化遺産建築に対して行われたRC補強の効果の検証、d)関連する文化遺産建築(ヴェネチア)の調査、e)現状(補強前)、補強途中(工事中)の構造的安定性と、補強後の補強効果を検証するために設置したモニタリングシステムのデータ分析と結果の考察、および関連する文化遺産建築へのモニタリングシステムの設置、f)劣化現況調査と採取サンプルの分析、g)構造解析モデルの設定、構造解析による構造特性、振動特性の把握と分析、に関する海外学術調査を実施したものである。研究実績の概要を以下に示す。 1.平成24年5月20日に発生したイタリア北部地震を受けたGhirlandina塔(モデナ市、世界遺産)の調査を実施するとともに、構造ヘルスモニタリングシステムを設置した。また、構造解析モデルを作成するとともに、平成25年1月25日に発生した地震の影響を分析した。 2.飛行船格納庫の常時微動測定による振動調査を行い、改修工事前のデータと比較して改修工事の効果を検証した。 3.不同沈下や塩害など厳しい条件下にあるヴェネチアの文化遺産建築(ブラーノ島の鐘楼)の調査を実施するとともに、静的モニタリングシステムを設置した。また、採取サンプルの分析により、煉瓦の塩類劣化に関する考察を行った。 4.組積造建築の耐震診断法に関する研究を継続するとともに、国内の煉瓦造建物の実験を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被災地の現地調査、文化遺産建築に設置した静的・動的モニタリングシステムは、一部電源の問題があるものの概ね順調に動き、不同沈下や塩害など厳しい条件下にあるヴェネチアの文化遺産建築の調査も進んでいる。 平成25年5月20日に発生したイタリア北部地震を受け、世界遺産であるモデナ市のGhirlandina塔の構造ヘルスモニタリングも実施している。 また、調査許可の取得に時間がかかったものの、改修工事後の飛行船格納庫の常時微動測定も実施できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年5月20日のイタリア北部地震以降も、平成24年10月3日、平成25年1月25日、5月4日に地震が発生していることから、イタリア政府やイタリア側共同研究者の協力を得ながら、幅広く文化遺産建築の研究を展開していきたい。また、前回の科学研究費補助金で調査した文化遺産建築の研究成果と統合して研究を推進していきたい。
|
Research Products
(6 results)