2011 Fiscal Year Annual Research Report
阮朝・太廟・昭敬殿の復原計画-ヴィエトナムの文化遺産に関する国際協力-
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22254007
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Research Institution | Institute of Technologists |
Principal Investigator |
白井 裕泰 ものつくり大学, 技能工芸学部, 教授 (40258926)
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Keywords | 阮朝王宮 / 昭敬殿 / 復原計画 / 国際協力 / ヴイェトナム / フエ / 太廟 / 隆徳殿 |
Research Abstract |
平成22年度末に、昭敬殿基壇の発掘調査が2011年3月1日から3月26日まで行われた。その結果、昭敬殿の基壇構造が隆徳殿と同じであったことが明らかになった。 平成23年度に実施した研究として、第3次・第4次調査および第1次・第2次臨時調査が行われた。第3次調査は、8月15日(日)から8月24日(土)まで行われ、その内容は(1)昭敬殿原寸場の設置、(2)昭敬殿原寸図の作成であった。復原柱間は、中間3264.8mm(7.7越尺)、脇間2756mm(6.5越尺)、端間1950.4mm(4.6越尺)を採用した。復原柱高は、身舎柱5512mm(13越尺)、庇柱4028mm(9.5越尺)、裳階柱2586.4mm(6.1越尺を採用した。柱径は、身舎柱220.5mm(5.2越寸)、庇柱207.8mm(4.9越寸)、裳階柱195mm(4.6越寸)とした。柱の伸びは、隅庇柱が84.8mm(2越寸)、隅裳階柱が127.2mm(3越寸)、脇間外側裳階柱が63.6mm(1.5越寸)とした。軒反りは、隅庇柱位置で1696mm(4越寸)、隅裳階柱位置で2120mm、(5越寸)とした。屋根勾配は、上屋で5.42/10、下屋で4/10とした。 第4次調査は、2012年2月26日(日)から3月26日(月>まで行われ、その内容は、(1)基壇の修理、(2)穆思殿の基壇調査であった。現状基壇:は、礎石が西側方向に大きく沈下し、礎石配置の基準グリッドが直行せず、歪んでいた。礎石レベルは、1A礎石高さを基準に、また礎右配置の直交グリッドは、A通りの礎石南端の東西線を基準に割り出した。礎石の沈下を防ぐため、礎石下に800mm×800mm×750mmの煉瓦積独立基礎を設けた。外側周りの煉瓦積布基礎は、そのままにしていじらず、礎石のみを据え直した。 またフエの宮殿建築とハノイの建築(寺・亭・祀・廟)を比較するため、第1次臨時調査を9月5日(月)から9月10日(土)まで、第2次臨時調査を2012年3月22日(木)から27日(火)まで行い、ハノイ建築の基礎的な資料を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成21年の交付申請書によると、平成23年度の「昭敬殿の復原計画」(平成23年8・9月、翌年2・3月)は、1)仮設工事監理、2)基壇の修理工事監理、3)柱・ケオの加工監理、4)木材料(大梁・飛貫・頭貫・母屋桁)の購入、5)家具調査となっているが、仮設工事(素屋根建設)は平成22年度にすでに完了し、昭敬殿基壇の修理は平成23年度末に完了している。柱・ケオの加工および大梁・飛貫・頭貫・母屋桁の購入は未着手であるが、家具修理を実施した。したがって平成23年度の本研究は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、今後昭敬殿の木工事を開始する予定であるが、平成23年1月にHMCCの所長が交代し、さらにHMCCの全体予算が削減され、ベトナム側の昭敬殿復原プロジェクトへの補助金助成が困難になったことで、今後工事予算の不足が懸念される。本研究の補助金で木工事の完成までは見通しが付いているが、昭敬殿完成までの見通しは立っていない。ベトナム側の財政の建て直しが望まれる。しかしながら、ベトナム政府は平成22年に太廟区全体の整備に着手する決定をしていて、われわれに対して太廟区整備プロジェクトに参加を要請している。このプロジェクトが具体的に動き出せば、昭敬殿の復原プロジェクトに対するベトナム側の財政支援が可能になってくると考えられる。またわれわれは、太廟区整備プロジェクトに参加するために、科研費基盤研究(S)の申請を検討したい。
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Research Products
(11 results)