2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウォーカー循環系における大気振動と山岳の森林限界の形成
Project/Area Number |
22255002
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北山 兼弘 京都大学, 農学研究科, 教授 (20324684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 直紀 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40335302)
蔵治 光一郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90282566)
清野 達之 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (40362420)
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Keywords | 沈降逆転層 / 気象観測 / 熱帯山岳 / 乾燥植生 / 森林限界 / 水ストレス / 集団内変異 / 生理生態 |
Research Abstract |
ボルネオ島キナバル山(4,095m)とガラパゴス諸島シエラ・ネグラ火山(1,490m)の各山岳を踏査し、植生調査と気象測器設置を行った。キナバル山では、3,940m、3,300m(既設)、1,560m(既設)の3標高に自動気象観測装置を設置した(2010年11月)。ガラパゴスでは、1,000m、875m、350mの3標高に観測装置を設置した(2011年8月)。各地点で、気温・湿度、風向・風速、日射量、降水量、気圧について10秒ごとの計測に基づく10分ごとの瞬時値と平均値(積算値)の記録を開始した。以降6ヶ月毎にデータを回収し、各山岳における気象の時空間変動解析を行った。キナバル山では、森林限界の形成と大気の沈降逆転層に伴う乾燥との関係を明らかにする目的で、植生調査を行った。森林限界上方の低木林、森林限界付近の疎林、森林限界下方の森林それぞれに調査区を設け、植物種組成及び構造を記録した。構成種の葉サイズ、葉面積当たり乾重、その他属性について調べ、植物の属性が群集レベルでどのように空間変化するのかを明らかにした。一方、キナバル山山頂部に優占する低木種Leptospermum recurvumには、葉の毛(トライコーム)の量に集団内変異が見られ、さらに標高上昇に伴って変異が有毛型に収斂する一般的な傾向が確かめられた。集団間の遺伝子流動によってどの集団にも多様な葉の表現型のプールが存在しているが、乾燥による自然選択により集団内の表現型が収斂する可能性が考えられ、これを検証するためにマイクロサテライトマーカーによる集団遺伝学的な解析を行った。また、葉の表現型(トライコームの量)の適応的意義を明らかにするために、表現型毎に水ポテンシャル測定と光合成測定を行い、水ストレスへの適応と光合成の水利用効率の解析を行った。
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Research Products
(3 results)