2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト科における攻撃性と抑制のメカニズムの進化:Pan属の集団間・集団内交渉の分析
Project/Area Number |
22255007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古市 剛史 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20212194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 末寿 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80153419)
伊谷 原一 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (70396224)
橋本 千絵 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (40379011)
田代 靖子 株式会社林原類人猿研究センター, 生態・社会学研究部, 研究員 (60379013)
坂巻 哲也 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (50402780)
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Keywords | Pan paniscus / Pan troglodytes / 集団間関係 / 社会関係 / 攻撃性 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
平成23年度は、古市剛史、伊左治美奈、橋本千絵、田代靖子がウガンダのカリンズ森林保護区に出張してチンパンジーの野外調査を行った。また、古市剛史、坂巻哲也がコンゴ民主共和国ルオー保護区に出張してボノボの野外調査を行った。黒田末寿と伊谷原一は集団のエンカウンター事例に関する過去のデータの分析を行った。なお、病気治療のため23年度の調査を中断して帰国した伊左治美奈は、24年度に追加の調査を行った。 研究内容 1)集団間の敵対的・融和的行動の研究:ボノボとチンパンジー各2 集団を同時に追跡し、他集団との遭遇に関するデータを収集し、遭遇の回避、相手集団に対する接近、相手集団からの逃避などのパターンを調べた。これにより、遭遇を敵対的あるいは融和的なものにする条件について分析した。ワンバとカリンズにおいて観察された過去の遭遇事例についても、観察者から情報を収集して分析した。 2)集団内の攻撃行動とその抑制のための行動の研究:ボノボとチンパンジーの各2 集団で、攻撃行動とその回避・終結のための行動を記録して分析した。 3)競合資源と敵対的交渉の関係についての研究:食物資源については、ライン・トランセクトによる果実量センサスを毎月継続して行い、月々の果実の量および分布と、集団間・集団内の攻撃行動との関係を分析した。また、集団間の攻撃行動については遭遇の起こった場所の周辺にある果実樹の種類や分布を調べ、集団内の攻撃行動についてはそのとき採食していた食物の種類や存在量を記録し、これらの影響について分析する。発情メスについては、性皮の状態と性行動の有無を記録して発情状態をモニタリングするとともに、排卵や妊娠の有無を調べるために継続的に尿サンプルを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チンパンジーおよびボノボの集団内の社会関係と攻撃性およびその抑制については、順調に研究が進んでいる。 一方集団感関係については、研究対象としていたチンパンジー2集団(M集団とS集団)、ボノボ2集団(E1集団とS集団)がそれぞれ異なる地域を遊動することが多くなり、本年度は集団間の出会いがあまり観察されなかった。ただ、直接出会いが見られなかったばあいも、相互の誘引あるいは回避が起こっている可能性が高く、4集団を継続的に追跡してGPSによる位置情報を記録して分析にあたっている。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目に入る平成25年度も、1)集団間の敵対的・融和的行動の研究、2)集団内の攻撃行動とその抑制のための行動の研究、3)競合資源と敵対的交渉の関係についての研究を継続し、データの蓄積を計る。観察頻度の低い集団感関係については、チンパンジー、ボノボそれぞれについて対象集団を増やして観察例の増加を図るとともに、GPSによる位置情報の記録に力を入れる。
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Research Products
(5 results)