2011 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯マメ科早生樹植林地における亜酸化窒素排出メカニズムの解明と抑制プロセスの探索
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22255008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 誠一 京都大学, 農学研究科, 教授 (10346033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 博清 同志社大学, 理工学部, 教授 (60109048)
石塚 成宏 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 研究グループ長 (30353577)
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Keywords | 早生樹 / 亜酸化窒素 / アカシア / ユーカリ / 熱帯 / 土壌 / 温暖化 / マメ科 |
Research Abstract |
熱帯早生樹植林におけるN20放出評価と緩和オプション提示を目的に、インドネシアの南スマトラ州で実施されている大規模産業植林地帯を中核フィールドとし、以下の3つのサブ課題を構成し研究を実施した。(1)溶存有機物(DGM:Dissolved Organicl Matter)に着目したN20発生メカニズムの解明。(2)アカシア樹皮に多量に含まれるタンニン資源の活用ならびにリン制限解除によるN20排出抑制プロセスの解明。(3)非マメ科樹種(ユーカリ)の導入による施業サイクル全体を通じたN20放出抑制効果の定量評価。最終年に研究代表者がこれらの成果を統合し、新たなN20放出源としての熱帯マメ科早生樹植林を包括的に評価すると共に、関連メカニズムを統一的に理解するための論理的枠組みとそれに基づく緩和オプションの提示を行なう。 本年度は、新たに植栽・設定した、ユーカリ、アカシア林分において、定期的にガスと土壌のサンプリングを行ない、N20フラッックスと土壌中の形態別N濃度を測定した。また、アカシア林分からのN20排出緩和オプション検討のためのリン施用区を設け同様の観測を行うと共に、リン施用がどのようなメカニズムでアカシア林土壌からのN20発生プロセス影響を及ぼすかについて検討した。 アカシア収穫跡地に新たに植栽したユーカリ林分ならびにアカシア林分土壌から植栽後約2年間は著量のN20排出が観測された。前植生であるアカシア収穫残渣の分解を通じた窒素資源の多量投入がその原因ど考えられた。3年目以降、N20排出量は一貫して減少したが、両樹種間で有意な差は見られず、非マメ科早生樹種のN20抑制効果は、少なくとも植栽初期には認められなかった。新植アカシア林分にリン施用すればN20発生が抑制させること、またリン施用のN20発生抑制効暴の本質は、リン施用が土壌のリン欠乏を解除することでアカシアの窒素吸収が加速されN20の基質が土壌中で減少するためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地観測、試料分析を含め特に遅滞無く進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
アカシア林分とユーカリ林分からのCHG発生フラックスの観測、ならびに得られたガス、土壌、リター試料の分析を完結し、非マメ科樹種による亜酸化窒素発生抑制効果について検証する。また、アカシア樹皮の亜酸化窒素発生抑制効果ならびに、リター層から表層土壌中へ溶脱供給される溶存有機物(DOM)の亜酸化発生に及ぼす影響についても検証を行う。
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Research Products
(10 results)