2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300116
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 徹 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40221098)
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Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / 生活習慣病 / 脂質代謝異常 / 老人斑 / コレステロール |
Research Abstract |
一般住民の連続剖検症例を用いて、老人斑と神経原線維変化の病理変化と脂質代謝異常との関連について病理疫学的に検討した。昨年度、老人斑なし(none)に比べると老人斑が出現した群では総コレステロリルとLDLコレステロール平均値が有意に上昇しており、一方HDLコレステロールの平均値は、老人斑なしと比較して、老人斑が出現した群では低下する傾向がみられることを見出した。本年度はそれに追加して老人斑の出現頻度をCERAPのスコア(none,sparse,moderate,frequent)ごとに細分して統計学的に検討した。この結果、老人斑が高頻度(frequent)に出現し、病理学的にアルツハイマー病の病変に相当する群でも総コレステロールとLDLコレステロールが一定の値を越えるとオッズ比が有意に上昇した。 具体的な数値として老人斑形成の頻度はそれぞれ総コレステロール≦224mg/dlの時62.2%、総コレステロール>224mg/dlの時86.1%、LDLC≦155mg/dlの時62.7%、LDLC>155mg/dlの時85.7%、HDLC≧40mg/dlの時62.7%、HDLC<40mg/dlの時83.8%、TG≦139mg/dlの時65.2%、TG>139mg/dlの時77.1%であった。 総コレステロール高値、特にLDLコレステロール高値でHDLコレステロール低値の場合、老人斑形成のリスクが高まることが確認され、この成果を学術誌に発表した(Matsuzaki T et al.Neurology、2011)。 これまでのアルツハイマー病の脳病変に重点を置いた研究の成果として、生活習慣病関連因子である耐糖能異常と脂質代謝異常の両方が老人斑の形成を通して、アルツハイマー病の病態に関与している可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのアルツハイマー病の脳病変に重点を置いた研究の成果として、生活習慣病関連因子である耐糖能異常と脂質代謝異常の両方が老人斑の形成を通して、アルツハイマー病の病態に関与している可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は久山町疫学研究と剖検による病理学的検討を融合する事によって得られたユニークな成果である。次年度以降も剖検症例の病理学的検討を継続し、さらに老人斑や神経原線維変化などの病理所見をより的確に評価するために病理組織標本のデジタル画像から病変を自動的に抽出し、定量化することを計画している。
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Research Products
(6 results)