2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体コラーゲン顕微鏡を用いた創傷治癒過程における生体修復機構の解明
Project/Area Number |
22300154
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安井 武史 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (70314408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 勉 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50136214)
福島 修一郎 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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Keywords | 応用光学・量子光工学 / 細胞・組織 / コラーゲン / 創傷治癒 / 非線形光学顕微鏡 |
Research Abstract |
創傷治癒とは、生体に生じた損傷が修復される過程である。創傷治癒の様態は極めて多種多様であり、その生体修復機構に関して未解明な部分も少なくない。しかし、それらに共通しているのは、『コラーゲン動態(産生、高次構造、配向など)』が深く関与していることである。もし創傷部におけるコラーゲン動態を時系列で詳細に追跡することが出来れば、創傷治癒における生体修復機構に関して重要な知見を得ることが出来る。本研究では、生体SHG光(第2高調波発生光)を用いた生体コラーゲン顕微鏡をラット創傷モデルに適用することにより、創傷治癒過程を時系列で追跡し、生体修復機構を『コラーゲン動態』の観点から明らかにすることを目的とする。 創傷治癒過程の時系列モニタリングに先立ち、今年度は、動物創傷モデルに対する生体コラーゲン顕微鏡の有用性を評価した。動物創傷モデルとして、ラットの皮膚熱傷モデルを用いる。研究科内の動物実験倫理委員会で承認を得たプロトコルに従って、程度の異なる熱傷部位を作成し、生体コラーゲン顕微鏡で観測した。その結果、熱傷部位のコラーゲン線維構造ではテクスチャー構造を示し、その構造サイズが熱傷程度に依存して変化することを確認した。このようなコラーゲン線維構造の変化は、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色やワン・ギーソン(VG)染色を用いた病理組織学的検査と一致していた。さらに、熱傷程度が進むにつれて、SHG光が減少することも確認した。これらの結果は、コラーゲン損傷を調査するパラメーターとして生体SHG光強度やイメージが有用であることを示している。
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Research Products
(9 results)