2010 Fiscal Year Annual Research Report
栄養素代謝バランス統合制御システムの分子基盤と生活習慣病発症における役割
Project/Area Number |
22300237
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
竹谷 豊 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30263825)
|
Keywords | 栄養学 / シグナル伝達 / 循環器疾患 / プロテオーム / 生活習慣病 / リン / 糖質 / 脂質 |
Research Abstract |
本研究では、栄養素代謝の相互連関を制御すると考えられている「栄養素代謝バランス統合制御システム」の分子実体を明らかにすると共に、生活習慣病発症における役割について明らかにすることを目標とし、主にエネルギー代謝制御とリン代謝制御の相互連関の調節機構を明らかにするものである。本年度は、ヒト大動脈由来血管内皮細胞を用い、エネルギー代謝とリン代謝の制御に関わるシグナル伝達経路の同定を行った。エネルギー欠乏や低リン状態ではAMPKが活性化し、エネルギー過剰や高リン状態ではAMPKを抑制し、代謝酵素などの活性を調節することで細胞外栄養素環境の変動に適応していることを見出した。一方、ラットを用いた検討では、2~3週間の高リン食投与では生体側の適応システムによりエネルギー代謝経路に対する有意な影響を確認できなかった。現在、糖尿病モデルラットなど病態モデル動物での検討を詳細に進めていくと同時により長期の投与を行い、糖代謝とリン代謝の相互作用と疾患発症、特に血管病についての発症機構について検討している。また、ヒトでの検討を内皮機能評価装置ENDO-PATを用いて検討を始めたが、症例数が少なく結論を得るには至っていない。現在、より多くの被験者のデータを取得すべく解析を進めている。次年度以降は、モデル動物あるいはヒトにおけるエネルギー代謝とリン代謝シグナルのクロストークの生理的意義と疾患発症における役割について検討する。
|
Research Products
(9 results)