2011 Fiscal Year Annual Research Report
心音から判定する有効で安全な運動処方、心機能評価方法に関する研究
Project/Area Number |
22300240
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 宏暁 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (00078544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清永 明 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (70177955)
檜垣 靖樹 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
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Keywords | 心音 / 心機能 / 骨格筋 |
Research Abstract |
心音から判定する有効で安全な運動強度・心機能評価法に関して明らかにする為に、平成23年度において「HSBPと換気閾値との関係」ならびに「心音屈曲点(HSBP)と骨格筋適応のトレーニング閾値の関係」に関する検証研究を行なった。 HSBPは交感神経のβ作用に起因するため乳酸閾値あるいは換気閾値に近似するとの仮説を検証するために高齢者を対象にHSBPと換気閾値の関係を調べた。両者にr=0.94と極めて高い相関関係が認められた。換気閾値は有酸素能の指標であり、かつ心臓疾患者のリハビリテーションで用いられる安全度が高く効果的な強度である。きわめて簡易に求められるHSBPが換気閾値にとって代わって活用できることが明らかになった。 HSBPはカテコールアミン閾値に相当するので、この代謝刺激で、ミトコンドリア機能を規定する遺伝子発現をする骨格筋PGC-1αを刺激する因子であり、HSBPが骨格筋の運動適応を誘導する閾値であることが考えられる。そこで、HSBP強度が、骨格筋の適応を誘導する刺激となるかどうかを調査するため、クロスオーバー法を用い、HSBP強度のトレーニングでPGC-1αの遺伝子発現と運動適応を調べた。その結果PGC-1α発現が増加し、2週間のトレーニングで最大酸素摂取量、乳酸閾値ともに有意に増加した。 以上の結果からHSBPは低体力者の有酸素能の指標として、また安全で効果的なトレーニング強度の設定法として有効である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画は、おおむね順調に進展していた。しかし、「トレーニングによる心機能改善効果」の検証調査の対象者となった心疾患患者の疾患が一部の心疾患に留まっていることから、心疾患をより詳細に分類し追加して評価する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、昨年度に引続き「トレーニングによる心機能改善効果の検証」を本学のメディカルフィットネスセンターおよび昭和大学付属病院を中心に、複数の施設にて心疾患患者を対象とした運動トレーニングを行い、心機能や有酸素性作業能力が向上するか検証を昨年度に引続き実施する。また、「地域住民の健康づくり運動支援法」を検証する為に健常者、および、心疾患発症リスクを有する者に対して、心音測定を基準とした運動処方の有効性の検証研究を行なう。
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