2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域在住後期高齢者におけるサルコペ二アの早期予防戦略の構築及び効果検証
Project/Area Number |
22300243
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
金 憲経 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (20282345)
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Keywords | サルコペニア / 包括的介入 / 運動 / 必須アミノ酸 / 後期高齢者 / 追跡調査 / プログラムの長期効果 |
Research Abstract |
サルコペニア後期高齢者を対象に3か月間行った運動、栄養補充が体力や体組成の変化に及ぼす影響を検討することを目的とした。地域在住75歳以上の高齢者1,377名を調査し、筋肉量の減少、筋力低下、BMI減少、歩行機能の低下者をサルコペニアと操作的に定義し、該当者304名(22.1%)を選定した。304名を対象にサルコペニア改善教室参加者を募集したところ、155名が参加を希望し、149名が不参加であった。参加希望者155名をRCTにより、運動+栄養群38名、運動群39名、栄養群39名、健康教育群39名の4群に分けた。運動群には週2回、1回当たり60分の筋力強化運動を、栄養群にはロイシン42.0%含有の必須アミノ酸3gを1日2回補充する指導を3か月間実施した。本研究のプロトコルは東京都健康長寿医療センター倫理委員会の承諾を得た。また、介入参加者にはプログラムの内容、指導期間、指導効果などについて詳細に説明し、介入参加有無を自ら選択するように指導すると共に自筆の承諾書を得た上で行った。4群間の初期値を比較したところ、年齢、身長、体重、BMI、筋肉量、骨格筋量、歩行速度、膝伸展力、運動習慣、尿失禁、骨粗鬆症既往、糖尿病既往等々全項目で有意差はなかった。 3か月間の変化を群間で比較した。その結果、足の筋肉量(F=4.253,P=0.007)、通常歩行速度(F=4.213,P=0.007)、最大歩行速度(F=9.374,P<0.001)、膝伸展力(F=3.558,P=0.020)で有意差が見られ、運動+アミノ酸補充群の変化が有意に大であった。介入前後における足の筋肉変化量は、運動群と運動+アミノ酸補充群で、通常歩行速度の変化量は、アミノ酸補充群、運動群、運動+アミノ酸補充群で、膝伸展力の変化量は運動+アミノ酸補充群で有意な変化を示した。一方、「足の筋肉量+膝伸展力」の変化は「運動+アミノ酸補充群」でOR=4.89(95% CI=1.89-11.27)、「足の筋肉量+通常歩行速度」の変化は「運動+アミノ酸補充群」でOR=4.11(95% CI=1.33-13.68)で有意に高かった。プログラムの長期効果を検証するために、追跡調査を平成24年10月に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域在住後期高齢者におけるサルコペニア早期予防のための介入プログラムの開発とその効果検証という研究目標を達するために、1年目は運動とカテキン補充の効果を、2年目には運動とアミノ酸補充の効果を検証したところ、サルコペニアの予防のためには運動と必須アミノ酸補充による包括的指導がより有効であることを検証した。プログラム終了後の追跡調査を平成24年度10月に行う予定であり、これらの追跡調査より介入プログラムの長期効果の検証が可能となることから、おおむね当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
地域在住後期高齢者におけるサルコペニアの早期予防に効果的な包括的介入プログラムの長期効果を検証するための追跡調査を平成24年度10月実施する予定である。介入プログラムの長期効果を詳細に検証するために聞き取り調査、体力測定、身体組成の計測を行う。筋肉量はBI法とDEXA法を用いて評価し(健診車予約済み)、プログラムの長期効果のみならず今後の課題について詳細に分析する。
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Research Products
(14 results)