2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300309
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 淳司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40183842)
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Keywords | X線トモグラフィー / 木製文化財 / 樹種識別 / 放射光 / 揮発性有機化合物 |
Research Abstract |
22年度はシンクロトロンX線μCT実験については優先ビーム時間(有償)ならびにSpring-8夏の学校開催時の占有時間を利用した結果、ほぼ目的の数のサンプルの観察を行なうことができた。また、VOC測定装置を用いた実験については、主にヒノキ科の複数の樹種について、組織学的特徴では判別困難なものを対象として検討した。 シンクロトロンX線μCT 実際の木屎漆のサンプルは5ミリ程度の比較的大きなものであったため、島津製作所の好意により低分解能で概観の観察をまず行ない、木質部が含まれていると予想される微少部分より、放射光実験用のサンプルを作成した。 得られた画像を詳細に検討したところ、木屎漆の中には植物繊維が少なくとも2種類含まれていることが明らかであった。一つは所謂師部繊維に属するもので、おそらく麻か樹木の樹皮から得られる靱皮繊維であった。特に注目すべき点として、シュウ酸カルシウムと予想される菱形結晶が多数観察された。木質部の観察では、針葉樹であることは容易に推定できたが、分野壁孔の観察によってヒノキ属ヒノキである可能性が示された。 VOC検出 匂い検出には、飛行時間型質量分析法TOF-MSによるガス分析計のひとつであるVOC分析計MS-200(KORE Technology社製)を用いた。サンプルはすべてヤスリで粉体とし、100メッシュ通過分をビニール袋に入れて保管した。また同一のサンプルから近赤外スペクトル適用のための錠剤サンプルも同時に作成することとした。匂い検出の統計処理を行なうソフトウエアにはSPSSとUnscramblerを比較検討した。
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Research Products
(4 results)