2011 Fiscal Year Annual Research Report
不活化ウイルス粒子による癌治療臨床研究を基に機能補充した多角的癌遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
22300339
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金田 安史 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10177537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種村 篤 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50457016)
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Keywords | HVJ / 癌 / 抗腫瘍免疫 / アポトーシス / 核酸医薬 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
メラノーマは、腫瘍増殖能、転移、再発能いずれも極めて強い悪性度の高い皮膚癌であり、新たな有効な治療法の開発が世界中で取り組まれている。我々はベクターとして開発した不活性化Sendaivirus粒子(HVJ-E)に多彩な抗腫瘍活性があることを見出した。それをもとに2009年末より、大阪大学医学部附属病院ではメラノーマ患者を対象としたHVJ-E腫瘍内投与による安全性と有効性の検証の臨床研究が進行している。その中で、やはり抗腫瘍免疫が活性化されることが分かってきた。本研究では、HVJ-Eの抗腫瘍効果のさらなる治療効果増強のため、HVJ-Eに搭載すべき治療分子を検討し、様々な腫瘍モデルを用いてその効果を検証して、転移や再発を抑制できる新たな遺伝子治療法の開発をめざしている。メラノーマは既存の抗癌剤や放射線療法が奏功しないケースが多い。そこで抗癌剤や放射線療法で誘発されるDNA傷害の修復を癌細胞において助長し、癌細胞死を増強する治療法の開発を行った。メラノーマ治療に用いられる抗癌剤ダカルバジン(DTIC)を癌細胞に投与するとDNA傷害が起こるが、それを修復する経路のうち相同組み換え修復が活性化し、それに関わるRad51の発現増強が起こった。そこでHVJ-EにRad51siRNAを封入し、DTICと併用投与するとマウスメラノーマ細胞のコロニー形成能が単独投与よりも有意に抑制された。そこでマウスメラノーマの腫瘍モデルを作成し、臨床用量相当のDTICは腹腔内投与(5回)、siRNA封入HVJ-Eは腫瘍内投与(3回)を行った。それぞれの単独群やscramble siRNA封入HVJ-EとDTIC併用群と比較して、Rad51siRNA封入HVJ-EとDTIC併用群により、有意な腫瘍抑制が得られた。このマウスにおける抗腫瘍免疫の活性化を調べると、HVJ-EによりCD4,CD8リンパ球の腫瘍内集積が著明に誘発されており、抗癌剤投与下においても抗腫瘍免疫の活性化が示唆された。HVJ-Eの単独投与の臨床研究が終了後、Rad51siRNA封入HVJ-Eと抗癌剤併用の臨床試験の実施が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メラノーマやグリオーマの治療に有効な遺伝子、siRNAを見出し、HVJ-Eに封入して導入することにより各種腫瘍モデルにおいて、HVJ-E単独投与よりも有意に強い抗腫瘍効果を実現することができ、現在行われている臨床研究の成果とともに、次の癌治療法を計画することができつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに治療遺伝子を探索する一方で、より臨床に近い動物モデルを用いて治療効果を検証する。
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[Journal Article] Methyl-beta cyclodextrin alters the production and infectivity of Sendai virus2011
Author(s)
Fujita, H., Tamai, K., Kawachi, M., Saga, K., Yamasaki, T., Kaneda Y.
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Journal Title
Archives of Virology
Volume: 156
Pages: 995-1005
Peer Reviewed
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