2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高温高圧水蒸気爆砕を用いたセルロース系バイオマスの総合的有用製品化
Project/Area Number |
22310048
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 嘉利 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20172455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 明彦 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20155360)
小林 史尚 金沢大学, 大学院・自然科学システム系, 准教授 (60293370)
佐々木 千鶴 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (50452652)
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Keywords | 水蒸気爆砕 / セルロース / リグニン / 酵素糖化 |
Research Abstract |
国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図るため、未利用のセルロース系バイオマスを水蒸気爆砕処理し、効率的なバイオエタノールに変換するプロセスの構築を目的として実験を行った。試料は徳島県内で容易に収集され、その有効な利用法が切望されているスギ間伐材チップ状を用いた。以下に得られた結果につい示す。 スギチップ(長径4cm、短径2cm、厚さ1cm)を種々の水蒸気圧力(30,35,40,45,50atm)と蒸煮時間(1,3,5,10分)を組み合わせて水蒸気爆砕処理を行った。その結果、高圧長時間条件下において処理することにより、スギチップ中の木質構造が解繊されていることが観察された。これらの処理物からセルロースとリグニンを分離するために水とアルコールを用いた抽出分離操作を行った。 水抽出残渣を常温下でメタノールで抽出し、メタノール抽出物と残渣に分離した。低分子量化したリグニンはアルコールに溶解する知見を得ていたことと併せて、このメタノール抽出物中の物質をFT-IRスペクトルにより確認したところ、低分子量リグニンと確認した。最も低分子量リグニンが得られた水蒸気爆砕条件は、水蒸気圧力45atm、蒸煮時間3分で処理した残渣であった。さらに水蒸気爆砕処理物の水およびメタノール抽出残渣の酵素による糖化を検討した。 種々の水蒸気爆砕処理条件により処理したスギチップ処理物の水・メタノール抽出残渣を基質(20g/l}とし、メイセラーゼ(明治製菓(株)製)を基質の1/10倍量添加し、72時間(pH5.0,140回転数)糖化処理を行った。最も多くのグルコース量が得られたのは水蒸気圧力45atm、蒸煮時間5分で処理したものであり、13.9g/lのグルコースが得られた。これは水蒸気爆砕処理物中の多糖あたりほぼ100%の糖化率であることがわかった。
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Research Products
(38 results)