Research Abstract |
ドライバーが重要な情報を見逃した場合に,自動車側が触覚インターフェースによって危険警報提示を行うシステムを開発し,その有効性を検証する。触覚インターフェースでは,視覚情報,聴覚情報のように運転環境において,情報提示手段として用いられておらず,同種の感覚を経て処理される情報のような干渉現象が生じにくい。これまでに,触覚情報を提示する部位(脚部,大腿部腹部,背部,指先)とそれぞれの部位に適した振動の周波数,強度,触覚において仮現運動を生じさせるために必要な周波数,強度,センサの面積等の条件が明らかにされていない。さらに,振動を単一身体部位に提示して,例えばシートベルト(腹部)と背もたれ(背部)でそれぞれ前方向と後ろ方向の危険を提示するのがよいか,大腿部の縦方向の2箇所に振動刺激を提示して後ろ⇒前方向もしくは前⇒後ろ方向の仮現運動を発生させて,危険位置を知らせたほうが望ましいか等も明らかにされていない。そこで,以下の手順で研究を実施した。危険の方向をドライバーに伝える方法として,前後または左右2箇所の身体部位への振動刺激により前後・左右への仮現運動を出現させることができる周波数,振動強度を明らかにした。そして,同定された条件を用いて,仮想運転環境で触覚インターフェース,視覚刺激,聴覚刺激によって,危険を警報するシステムを開発し,運転席左右のミラーに相当するディスプレイに歩行者,バイク等の種々の映像を映し出す。これらの映像の中から注目すべき情報を指定し,これらが出現した場合には,危険回避反応を行わせる作業における警報の有効性を検証した。仮現運動による触覚インターフェースの方向付与は,危険に対する回避反応を早める効果が認められ,これらのシステムの実車への搭載によって危険防止に貢献できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コックピット・モジュールの表示-操作系設計方法,触覚インターフェースによる危険情報提示システムの基盤が得られ,これらの成果は国外の学術組織等に発表可能な水準にある。これらの成果発表を契機として,さらなる発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により,コックピット・モジュールの表示-操作系設計方法,触覚インターフェースによる危険情報提示システムが確立され,これらの成果は平成24年度に開催される国際会議AHFE(Applied Human Factors and Ergonomics)2012,SICE2012(計測自動制御学会のAnnual International Conference)で発表予定であり,自動車メーカ等との産学連携を推進できる状態にある。来年度以降は,生体信号に基づく居眠り検知システムの開発を実施するが,これに関しても,計画通りに実施し成果を得るだけの基礎・基盤をH22・H23年度で確立してきた。したがって,着実に研究を推進することにより,居眠りによる自動車事故防止のための基盤を確立でき,その成果を社会に還元できると考えている。
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