2012 Fiscal Year Annual Research Report
安心感を高める自動車用コックピット・モジュール設計基盤技術
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22310101
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村田 厚生 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10200289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早見 武人 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (60364113)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 予防安全 / 居眠り予測 / 多項ロジスティック回帰 / 生理指標 / 行動指標 |
Research Abstract |
平成24年度には,以下の研究を実施した。眠気予測に用いる生理指標として従来研究者らが用いてきたRRV3(心拍R-R間隔の3拍分の分散),脳波MPF(Mean Power Frequency:脳波の時系列データのパワースペクトルから求めた平均パワー周波数),EOG(まばたき回数)を用いた。また,国内外の多数の文献検索の結果,行動指標として従来の研究で用いてきた模擬運転作業におけるステアリングのばらつきを表すトラッキング誤差のほかに以下の行動指標を取り上げた.模擬運転士シミュレータのペダル操作量の標準偏差,座圧計測結果から求めた体動回数,座圧計測結果から求めた座圧加重中心の移動量,水平方向と垂直方向の首屈曲角度,センサ-・シートを用いて計測した自動車用シート背もたれの背圧,センサ-・シートを用いて計測した足圧。 まず,基礎実験として上記の生理指標,行動指標と眠気の関係を明らかにし,各指標が眠気に対していかなる感度を有するかを明らかにした。その結果,これまでに有効とされてきたRRV3,脳波MPF,まばたき回数EOGはもとより,本研究で新しく取り上げた行動指標のほとんどが眠気に対して感度よく反応することが明らかになった。 14名の被験者を対象として,完全な覚醒状態および徹夜明け(断眠指示を出して,被験者を管理し,意図的に眠気が高い状態を作り出した)で相当に眠気が誘発されている状態で,各30分程度生理指標,行動指標を計測した。同時に,被験者自身の眠気の状態を1から3の数字で評価させた(1:覚醒,2:やや眠い,3:眠い)。これらのデータに基づき多項ロジスティック回帰モデルによる眠気予測ロジックを構築し,その有効性を確認した。20秒前の眠気予測を試み,被験者全体のデータとして,約96%の予測精度が得られ,本研究の眠気予測ロジックの有効性が検証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に関しては,居眠り予測に関する研究を行い,生理指標,行動指標を計11種類投入した多項ロジスティック回帰モデルによる眠気予測ロジックによって,申請者らの成果も含み,国内外で最大の予測精度であった82%を凌駕する平均96%程度の予測精度が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度および今後の課題は,本研究によって確立された警報システム設計基盤技術,自動車用コックピット・モジュールの人間工学的設計基盤技術,居眠りによる自動車事故防止のための基盤を,いかに実用化していくかという点にある。例えば,本研究によって高い居眠り予測精度が得られたことを述べたが,これを実用化するには本研究で取り上げた行動,生理指標を自動車で計測できるようにし,開発した居眠り予測ロジックを組み込みソフトウェアとして,自動車制御ソフトウェアに組み込む必要がある。自動車メーカ等と十分連携することによって,これは可能で,その成果を社会に還元できると考えている。
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Research Products
(8 results)