2011 Fiscal Year Annual Research Report
包括的天然物化学の展開による高機能低分子資源の創出
Project/Area Number |
22310133
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石橋 正己 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90212927)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 緑 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (40373261)
當銘 一文 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (80563981)
|
Keywords | 天然物 / 薬学 / 有機化学 / スクリーニング / シグナル伝達 |
Research Abstract |
当研究室に構築した天然物抽出エキスライブラリーを用いて,TRAIL,ウィント,ヘッジホッグ等のシグナル分子を標的とした天然物の探索を行った. 1.TTRAIL耐性胃がん細胞(AGS)に対する耐性克服作用を示す天然物の探索を行い,ヒルギ科Kandelia candel葉部抽出物より4種の新規セスキテルペンを含む6種の化合物を単離した.またクワ科Artocarpus champeden根部抽出物からは3種の新規プレニル化フラボノイドを含む6種の活性成分を得た.これらのうちA. chamedenより得たheterophyllinは最も低濃度(4μM)でTRAILとの併用により細胞生存率を34%低下させたため,強力な耐性克服作用を示すことが判明した.本化合物は,カスパーゼ3/7の活性を増強させたが,カスパーゼ阻害剤やデス受容体(DR5)キメラタンパクによりその作用は打ち消された.また本化合物はデス受容体DR5やその上流因子CHOPのmRNAやタンパク発現量を上昇させることが分かった.従って,本化合物がDR5を介して,カスパーゼを活性化させ,アポトーシスを誘導することが示唆された. 2.TRAILシグナル経路におけるデス受容体DR5の増強作用をルシフェラーゼ試験法により評価する方法により活性天然物のスクリーニングを行った.その結果,マメ科Derris indicaの葉部抽出物より活性成分として5種のフラボノイドおよびスチルベン化合物を単離した.これらの中には強いデス受容体増強作用を示すものが含まれていた. 3.ヘッジホッグシグナル阻害作用に関してルシフェラーゼ試験法により評価する方法を用いたスクリーニングにより,ベンケイソウ科Bryophyllumpinnatum葉部より活性成分として2種のフラボノイド配糖体を単離した.これらは転写因子GLI1の転写活性を濃度依存的に阻害し,ヘッジホッグシグナル経路の標的であるPTCHやBcl2の発現を抑制し,さらにPtchのmRNAの発現を抑制した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
TRAILシグナルおよびヘッジホッグシグナルに対するスクリーニング研究の成果として,タイおよびバングラデシュ産植物から予想よりも数多くの活性化合物を単離した.さらにそれらの化合物の分子レベルでの作用機構についての解析も行い,興味深い結果が得られた.
|
Strategy for Future Research Activity |
TRaIL シグナル,ヘッジホッグシグナル,およびウィントシグナルに関してさらに継続してスクリーニング研究を行っていく.これまでに得られた興味深い活性成分については,その分子レベルでの作用メカニズムの解析に関する実験をさらに進展させ,活性化合物の作用点や標的分子を解明するための実験方法を検討する。
|