2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん抑制遺伝子産物の作用を増強させる天然低分子化合物の探索と作用機構の解明
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22310138
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
塚本 佐知子 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40192190)
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Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / がん抑制遺伝子産物 / 抗がん剤 / 天然低分子化合物 / p53 / 海洋無脊椎動物 / 海洋由来微生物 |
Research Abstract |
ユビキチン-プロテアソームシステムを阻害する物質が、新しい機序で作用する抗がん剤として期待されている。そして、私たちは、新規抗がん剤の開発を目指して、この系に対する阻害物質を天然資源から探索している。特に本研究課題においては、がん抑制遺伝子産物p53の作用を増強させる天然低分子化合物を探索し作用機構を解明することを目的としている。既に、(1)プロテアソームに対する阻害物質、(2)ユビキチン活性化酵素(E1)に対する阻害物質、(3)ユビキチン結合酵素(E2)の一つであるUbc13-Uev1A複合体の形成を阻害する物質、(4)がん抑制タンパク質p53とそのユビキチンリガーゼ(E3)であるHdm2との相互作用を阻害する物質、(5)ポリユビキチン化されたp53をプロテアソームへと運搬するステップに対する阻害物質を、海綿や海洋由来真菌から単離している。平成23年度の成果は、以下の通りである。(1)インドネシアで採集した海綿Hyrtios reticulatusから、E1阻害物質であるhyrtioreticulin Aを単離した。IC_<50>値は2.4μMで、これまでに発見されたE1阻害物質の中で最も阻害活性が強い。(2)インドネシアで採集した海綿Lissodendoryx fibrosaから、Ubc13-Uev1A複合体の形成を阻害する新規ステロールダイマーを2個単離し構造決定した。(3)インドネシアで採集した群体ボヤDidemnum sp.から、12個の新規セリノリピッドを単離した。これらの化合物は、p53-Hdm2複合体形成阻害作用を示した。また、化合物によって阻害活性が27倍異なる点が興味深い。(4)インドネシアで採集した海綿Leucetta microraphisから、特異なspiroquinone構造を有する新規抗菌物質spironaamidineを単離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「9.研究実績の概要」に記載したような新規阻害物質を発見する事に成功したことに加えて、新たなアッセイ系として、(1)リクルート過程に対する特異的な阻害物質を探索するためのアッセイ系と、(2)脱ユビキチン化酵素USP7を阻害するためのアッセイ系を確立する事に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「11.現在までの達成度」に記載したように、平成23年度には2種類の新たなアッセイ系を確立する事に成功した。これらのアッセイ系を用いて阻害物質の探索を行うとともに、これまでに阻害物質の単離に成功しているアッセイ系についても、より特異性の高い阻害物質の探索を目指す。
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Research Products
(31 results)