2012 Fiscal Year Annual Research Report
アジア通貨危機の政治的遺産:政治の不安定をめぐる比較研究
Project/Area Number |
22310152
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉田 芳史 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90197567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻野 雅子 三重大学, 人文学部, 教授 (10262982)
上田 知亮 龍谷大学, 現代インド研究センター, 研究員 (20402943)
水野 広祐 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (30283659)
河原 祐馬 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (50234109)
木村 幹 神戸大学, 大学院国際協力研究科, 教授 (50253290)
横山 豪志 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (80320381)
滝田 豪 京都産業大学, 法学部, 准教授 (80368406)
日下 渉 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80536590)
河野 元子 政策研究大学院大学, 国際開発戦略研究センター, ポストドクトラルフェロー (80552017)
岡本 正明 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (90372549)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | アジア通貨危機 / 民主化 / 政治的安定 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1997年アジア通貨危機の直撃を受けた東アジア諸国が、中長期的に政治にどのような影響を受けたのかを比較検討することにあった。平成24年度には各国の事例研究のとりまとめを進めつつ、複数の事例の比較検討を行った。 当初の混乱から立ち直って民主化と安定を実現しているインドネシアについては、政治面では地方分権、経済面では柔軟な雇用構造に支えられた好調な経済の2つが政治の安定を支える主因になっていることが分かった。新自由主義路線を導入していて経済危機に陥ったロシアでは、大統領の権力強化という形で政治秩序の安定が図られ、その意味では非民主化が進んだ。同国の政治の安定を左右する鍵は、経済状況を左右する資源価格である。経済的要因が重要という点ではインドネシアと共通している。経済や金融の自由化が進んでいなかったインドや中国はアジア通貨危機の打撃をあまり受けることがなく、政治への影響も乏しかった。逆に、通貨危機の打撃がもっとも深刻であった韓国では、国家運営の基本方針の見直しを余儀なくされ、新自由主義路線をもっとも積極的に導入するようになった。 通貨危機発生直後には政治が安定していたタイとフィリピンは、数年後には深刻な不安定に陥った。本研究から、危機で強化された新自由主義路線とあいまった階層格差の拡大と、危機以前から採用されていた民主政治の平準化作用とが生み出すひずみの先鋭化が、両国で共通して観察されることが明らかになった。すなわち競争激化で社会移動が困難になった中間層が、民主政治の再配分政策の恩恵を受ける多数派の大衆から、知性・品性の下劣を口実にして、政治力をはぎ取ろうとする動きが目立ってきた。この道徳政治は調停が困難であり、当選者の引きずり下ろしや軍事クーデタを招いて、政治を不安定化させる主因になっている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)