2012 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアの教育発展と社会変容:「複線型教育システム」の可能性
Project/Area Number |
22310153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
押川 文子 京都大学, 地域研究統合情報センター, 教授 (30280605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛尾 直行 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (10302358)
村山 真弓 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 次長 (10450454)
伊藤 高弘 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (20547054)
佐々木 宏 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (50322780)
日下部 達哉 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 准教授 (70534072)
南出 和余 桃山学院大学, 国際教養学部, 講師 (80456780)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 インド、バングラデシュ / 教育 / 学校制度 / 教育産業 / 私立学校 / 学歴社会 / 教育改革 |
Research Abstract |
本研究は、近年著しい教育発展が認められる南アジア、とくにインド、バングラデシュを対象に、①世帯レベルでの「教育」の意味の変容、②雇用市場との接合など教育とモビリティの関連、③政府系学校、急拡大する多様な私立学校、教育普及に一定の役割を果たしている宗教系学校やNGO系学校など、多様な学校が併存し相互に依存・対抗している学校システム(複線型教育システム)の教育発展における実態的な意味、の3点の解明を目的としたものである。 ①については、教育の定着度に差があるビハール州とタミル・ナードゥ州の農村部を対象地域として選択し、教育の状況や認識を問う詳細な共通質問票による世帯調査(各地域500サンプル)を実施した。下層・社会的弱者層にまで教育の必要性の認識が拡大していることは両地域に共通するが、教育を通じた雇用拡大の実態と学校の質には大きな差があり、それが中等教育段階までの脱落率の差に結びついていること、とくに州内の非農業雇用の拡大が小さいビハール州では現地語による中等教育の発展が遅れていることが明らかになった。 ②については、インド工科大学出身者など高度な学歴者ではなく、地方レベルのカレッジや中等教育程度の学歴者などを重点対象として、デリー、ヴァラナスィー、チェンナイで調査を実施した。この層では安定的な雇用確保が難しい事例が多く、頂点部分を除くと学歴を通じたモビリティ確保は限定的である。同時に、留保制度の拡大を求める動きや専門学校など資格を求める需要に応じた教育産業の急拡大など、学歴と雇用をめぐる政治経済の動きが加速している。 ③については、デリーにおける無認可学校やバングラデシュの宗教系学校などの調査を踏まえて検討した。近年の教育改革の分析を通じて教育における政府・市場・市民社会の役割の再調整の実態や、その結果として階層間・地域間格差は拡大する方向にあることが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(18 results)