2011 Fiscal Year Annual Research Report
環瀬戸内圏農林漁業地域における女性・若者・高齢者の生活原理に関する総合的研究
Project/Area Number |
22310163
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 和佐 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (90324954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
〓 恵子 吉備国際大学, 社会学部, 准教授 (20227474)
西村 雄郎 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (50164588)
杉本 久未子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (60340882)
田中 里美 広島国際学院大学, 現代社会学部, 准教授 (00300129)
室井 研二 香川大学, 教育学部, 准教授 (20310013)
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Keywords | 地域住民組織 / 他出家族 / 他者への信頼 / 高齢者支援 / 担い手の創生 / 社会参加 / 女性の就労 / 女性グループ |
Research Abstract |
本年度は、地域生活者の意識のあり方・生活実態を明らかにすることを目的とする下記のような複数の本調査を実施し、その分析結果について3回の全体研究会において議論を深めた。 1、国勢調査結果報告等のデータを用いたクラスター分析:中国地方ではとくに人口減少・高齢化の状況が厳しいのは島根県であった。2、文献調査:岡山県内の開拓地55地区のなかで開拓行政終了後も集落としての存続がうかがえる18地区をみると、多様な生業状況にあり、それぞれ共同性のあり方が異なるであろう、ということが示唆された。3、広島県庄原市内農村部の集落調査:高齢者世帯を支援する自治組織の存在が、集落を離れる安心につながっていた。4、広島県内ダム生活再建地住民への質問紙および聞きとり調査:地域の共同性を再構築しようとした世代が第一線を退くことで、共同性の維持への意欲が減退していた。5、兵庫県姫路市内島嶼部での聞きとり調査:教育機関との連携、漁業等の複数の産業の存在により、若者が多く島に残っていた。6、島根県浜田市:20歳以上65歳未満の女性を対象に、家族生活・就労・行政に対する意識を明らかにする質問紙調査を行なった(回収198票、回収率54.2%)。7、島根県飯南町:20歳以上住民を対象に、中山間地域居住者の生活意識と家族のあり方に関する質問紙調査を行なった(回収637票,回収率70.2%)。その結果、集落の高齢化率・世帯減少率といった人口的要因と、人びとの家族・地域社会に関する意識や態度との間には相関関係が成り立たない可能性が示唆された。8、香川県丸亀市内島嶼部:高齢化率が80%以上の島の高齢者を対象に、離島の高齢者福祉に関する質問紙調査を行なった(回収59票、回収率90.8%)。その結果、高齢者はフォーマルな支援を期待しておらず、家族・地縁によるサポートを期待している状況にあった。 以上の発見から、(広義の)地域福祉の論理の構築可能性が高まったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画のとおり、3つの質問紙調査を実施することができ、他の調査ともども分析が進んだ班については次年度に学会報告、論文化が具体的に予定されているため。また、現地のご協力のもと集落調査を実施することができた班では、冊子体の調査報告書を作成し現地への還元ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査を終え最終年度を迎えるにあたり、当初の計画どおり、質問紙調査および事例調査の分析を深め、その成果を学会報告や論文等により発表していくことを中心に、いくつかの事例調査については補足調査を行なうことによって、さらに考察を深めていく。進捗が遅れた事例調査もあるが、現地・現場との関係はできているため、今後、焦点をしぼった形で計画どおり推進できる見込みである。
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Research Products
(22 results)