2011 Fiscal Year Annual Research Report
生命統治時代の〈オイコス〉再考とポストグローバル世界像の研究
Project/Area Number |
22320022
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
西谷 修 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (20189286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 智香子 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (10274680)
土佐 弘之 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70180148)
崎山 政毅 立命館大学, 文学部, 教授 (80252500)
|
Keywords | ポストグローバル世界 / 新自由主義 / 東日本大震災 / 福島原発事故 / 核技術 / 核と未来 / 生命統治 / 経済復興 |
Research Abstract |
前年度末に行った企画(金融危機のなかで国家破綻を引き起こしたアイルランドのケースを、新自由主義的グローバル化の集約的事例として取り上げ、グローバル経済と国家およびメディアとの関係を検証)の直後に、東日本大震災とそれにともなう福島第一原発事故が起こり、これを受けて今年度の活動計画は多少の変更を見ることになった。 まず、西谷が6月にフランスに出張し、ENAのセミナーとNantes高等研究所の研究会合で、大震災と福島原発事故のもつ文明史的意味およびこの出来事によって問われる未来について報告し、他に何人かの研究パートナーと「ポストグローバル世界像」についての議論した。また、中山が7月のウクライナ国際経済学会(キエフ)に出席し、チェルノブイリを間近に意識しながらグローバル経済の諸問題に関する議論に参加してきた。 そして7月には「核技術以後」の世界に関して、アクチュアルな日本の課題を含めたシンポジウム「核と未来」を開催し、約200人の参加者聴衆とともに震災復興の諸問題や原発問題について議論した。そしての記録を『核のある世界』としてまとめた。 また、中山が関西出張を利用して、土佐・崎山両名と会合し小研究会をもった。そして今年度の活動のまとめとして3月に青森県六ヶ所村と東通原発の視察を行った。放射能のコントロールは技術とメディアを絡めて、「生命統治」の研究課題のヴァリエーションとも言えるものだが、地域の経済開発の問題を含めて、有意義な知見を得ることができた。 さらに3月にフランスからの要請で西谷が1週間渡仏し、ナント高等研究所所長A・シュピオおよび今年度研究員と会談し、さらにパリでP・ルジャンドル、A・カイエ等と会合し、「ポストグローバル世界」考察の軸となる制度的側面と経済学の新展開について議論を深めてきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災と福島原発事故を受け、生命技術の問題から核技術に視点を移しポストグローバル世界像の研究は変わらないものの、力点を多少ずらすことになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究分担者だったが海外出張で抜けていた真島一郎がこの3月に帰国したためメンバーに加わる。また、西谷が統括するはずだった「生命統治」の制度的局面の研究に関して、若いメンバーの森元庸介に加わってもらうことになった。真島はアフリカやポスト・コロニアルの諸問題について、森元はドグマ人類学と人間概念の再検討に関して、これまでの研究の補完を担ってくれることになっている。今年度はさらに、生命統治とポストグローバル世界双方に関係するテクノロジーの問題の理解とその影響の解明にも力を入れて行くつもりである。
|
Research Products
(13 results)