2010 Fiscal Year Annual Research Report
多色拡散反射撮像法による日本刀太刀表面形態デジタル画像アーカイブの構築
Project/Area Number |
22320028
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河合 正朝 慶應義塾大学, 文学部, 名誉教授 (30051668)
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Keywords | 太刀 / デジタルアーカイブ / 多色拡散反射装置 / 表面形態 |
Research Abstract |
平成22年度は、資料形状および表形態が多様な太刀を撮像できるよう、既存短刀用多色拡散反射撮像装置の改良計画を策定すること、および装置改良に不可欠な太刀の現代刀工による作刀を行い、改良する装置のステージ幅、キセノンランプ光量、およびCCDラインセンサーの位置に関する基礎情報を得ることを目的に行われた。 現代刀工(宮入恵)に作刀を依頼する太刀は、これまで我が国において確認されている太刀の中でも最大の反りを有する鎌倉時代の豊後国行平(総反り約5cm)、および刃先から棟部への曲率が最も大きい鎌倉時代の清綱(総長90cm)の両方の特徴を併せ持つ形態のもののとし、作刀された太刀の自在な撮像を可能とする装置改良計画を策定することとした。我が国における美学上最も高い評価を有している平安後期~鎌倉前期に作刀された刀剣類の復元は、江戸時代以降今日に至るまで数多くの刀工において試みられてきたが、未だ復元はなされていない、という現状をふまえ、これまでに自然科学的方法で調査されてきた上古刀および日本刀の地金の調査結果を基に、平安後期~鎌倉初期の刀剣地金の組成に近似する地金を製造し、その地金を刀匠に提供した。作刀手順を確認するため太刀に先立ち短刀を作刀し片面研磨した後、表面形態の撮像、反射スペクトル測定、および短刀断面の金属組織観察を行った。得られた結果を解析し、作刀手順に大きな問題はなく良好な結果が得られたことを確認した後、太刀の作刀を行ったが、刀匠の作刀スケジュールの都合により、仕上げは次年度に持ち越した。作刀された太刀形態を基に、多色拡散反射撮像装置の改良計画を策定した。詳細設計については次年度完成する太刀の撮像試験結果を基に最終確定させることとした。なお、東日本大震災の影響で3月中旬に予定していた研究会の開催を見合わせた。
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Research Products
(1 results)