2010 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀ローマにおける外国人芸術家の活動と交流に関する包括的研究
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22320033
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 東京芸術大学, 美術学部・芸術学科, 准教授 (60260006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大屋 美那 国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (40342943)
渡辺 晋輔 国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (50332143)
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Keywords | 西洋美術史 / 近代史 / 芸術家の交流 / 風景画 / データベース / 19世紀 / ローマ / イタリア:ドイツ:フランス:デンマーク:イギリス |
Research Abstract |
本年度は、各担当者が該当国の芸術家のデータベースの構築と調査旅行で収集した資料を中心に研究を進めることができた。各人のコンピュータにおいて作品画像と作品データを入力した後、研究代表者の「ファイルメーカー・サーバー」に各データベースを集約、各端末でそれを閲覧するところまで行えるようになった。 研究代表者の佐藤は、ローマで活躍したドイツの画家についてナザレ派以外の1800-20年代を中心に421点の画像を集めた。とりわけラインハルトやコッホがローマで作り上げた風景のイメージは、後のナザレ派にどのような影響を与えていたかを知る指標となる。またこの2人と外国人芸術家との交流も調査できた。研究分担者の大屋は、ローマのフランス・アカデミーでの彫刻家の活動を把握することに努め、131件のデータを作成した。渡辺は、イタリアのアカデミーとドイツのナザレ派の関係を軸に177件のデータを収集し、イタリアの画家とナザレ派が共同で壁画を制作した例に注目した。連携研究者の山口は、イギリスのターナーやイーストレイクを中心に90点の画像を入力した。またバーン=ジョーンズのローマ滞在を調査するため、ロンドンで4点のスケッチブックを調査し、ここからミケランジェロの影響を確認することができた意義は大きい。研究協力者の小針は、フランスの風景画家300点のデータを入力した。なかでも、コローが1825-28年における最初のイタリア滞在でドイツ人エルンスト・フリースとの交流に焦点を合わせている。コローとドイツ人画家とのつながりは不明瞭なままであるが、今後は、コローの作風の完成にドイツ人画家が果たした役割を明らかにしていく予定である。萬屋は、デンマーク人を中心に265点のデータを入力した。デンマークの芸術家、特に彫刻家トーヴァルスンとドイツ人コミュニティーの関係、また風景画家エガスベアのローマ滞在期の作品に関し手研究を進めることができた。 来年度は、以上のデータベースを相互に閲覧することにより、作品相互の具体的な影響関係に基づいた芸術家の交流が明らかにされるであろう。
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Research Products
(11 results)