2010 Fiscal Year Annual Research Report
モンロー・ドクトリンの行為遂行的効果と21世紀グローバルコミュニティの未来
Project/Area Number |
22320059
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
下河辺 美知子 成蹊大学, 文学部, 教授 (20171001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 孝之 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30155098)
舌津 智之 立教大学, 文学部, 教授 (40262216)
日比野 啓 成蹊大学, 文学部, 准教授 (40302830)
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Keywords | モンロー・ドクトリン / 半球思考 / アメリカ南部 / 南アメリカ / 暴力 / 惑星思考 / 大衆文化 / アメリカン・ルネッサンス |
Research Abstract |
本年度は、研究分担者個人の研究を進める一方、四人が各自研究会を企画して共同研究の場を確保し本研究のテーマをめぐって関心を共有した。初年度の今年は、モンロー・ドクトリンについて二つのアプローチから考察を始めた。一つは政治文書といわれるモンロー・ドクトリンのアメリカ史における意義を確認するとともに、そのレトリックの本質を文学批評の観点から検討することであり、今一つは、アメリカ文化およびグローバル的視野で見た場合、モンロー・ドクトリン的思考がどのような形で表れているかについて個別の事例を挙げて検証することである。前者についてはアメリカ史専攻の研究者を講師にむかえて研究会「モンロー・ドクトリンの歴史」(2010年7月)を開催。また、文学テクストの検証としては研究会「テネシー・ウィリアムズの新世紀」(2010年11月)にて、カリブへ通じる越境的な空間が舞台となった一幕劇をめぐりMDの諸相をさぐった。また、後者については、アメリカ文学会東京支部シンポジウム「アメリカン・ルネッサンス70周年」(2010年12月)への協賛により19世紀アメリカ文学を半球的想像力の視点から考察し、研究会「チャイニーズ・ボックスとしてのネイティヴ」(2011年2月)において南米ペルーにおける英語圏世界との統合と排除の関係を検討した。これら研究会でのディスカッションにおいて、モンロー・ドクトリンに宿るprotectionとcontrolのレトリックの歴史的な経緯をたどるとき、アメリカ的拡張を支える欲望の本質の一部が見えてきた。一方、恐怖と不安という心理的側面からもモンロー・ドクトリンの諸相を再検証する必要性が浮き上がってきている。 4人の研究分担者が個別に書いた論文・著書は計15点、学会発表計15回に上る。また、海外の研究者との交流も数多くおこなった。2010年6月に来日したWai=Chee Dimock氏との情報交換(巽、下河辺)、ニューヨークなどでの資料収集(下河辺、舌津、日比野)、トクヴィル・セミナーでの講演(巽)、オスロ大学での連続講義(巽)など。
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Research Products
(31 results)