2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22320082
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
筧 一彦 中京大学, 情報理工学部, 教授 (90262930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 友紀 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50322095)
渡辺 眞澄 新潟医療福祉大学, 医療技術部, 准教授 (60285971)
近藤 公久 日本電信電話株式会社, NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 主幹研究員 (60418548)
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Keywords | 文理解過程 / 予測的処理 / 状況下の理解 / VWP法 / PWI法 / プライミング / 眼球運動 / 自他対応動詞 |
Research Abstract |
1)左右枝分かれ構造の曖昧性のある文の処理に関する、視覚文脈情報と韻律情報の相互作用を眼球運動測定実験に基づいて引き続き進めた。本年度は、視覚情報により想起されるコントラスト情報と韻律情報により示されるコントラスト情報が整合している場合としていない場合の要因の組み合わせに多様性を持たせ、複数の実験を行った。その結果言語外情報としての視覚情報とパラ言語情報としての予測的処理の関係を明らかとした。 2)文の理解・生成において単語間の統語構造を割り出すためには、動詞のもつ意味、統語、音韻情報の処理が必要であり、その際の予測・利用の容易性に影響を及ぼす要因を検討を進めている。日本語の自他対応動詞(ex.切れる/切る)は類似の意味、音韻情報をもつが、統語情報は異なる。本年度は、自他対応動詞の処理容易性について、失文法患者を対象に文完成課題を行った。その結果、統語処理の複雑さより、語長や、類似語(自他対応動詞対)の存在が文処理に影響を及ぼすことが明らかとなった。 3)予測的文処理過程を観測するために眼球運動測定装置(Tobii)と心理実験ソフト(e-prime)の連携スクリプトの作成を行った。また、取得データのビジュアライズ化をはかるため、停留時間の分布、停留点のプロット、注視時間の解析プログラムを作成し取得データの妥当性の検討とデータ特性の洞察を容易とした。これによりマルチモーダルな刺激、ビデオによる言語外情報の提示による実験が効率的に実施可能となった。また、予測的処理における言語外情報、言語知識の利用を明らかにするための未知語処理に関する実験パラダイムを考案した。 なお、上記の成果は、国内外の学会発表及び論文投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予測的処理に関わる情報の影響が明らかになりつつある。得られた成果をもとに国内外の研究者と情報交換を行い、今後の共同研究の計画について発展的検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)国内外の研究者との共同プロジェクトとして、本科研終了後にもさらなる発展あるいは新規研究計画につなげることにつとめる (2)健常者と失文法患者の対照実験をさらに強化する。 (3)眼球運度測定装置を用いた新実験を推進する。
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Research Products
(10 results)