2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22320161
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岸本 直文 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (80234219)
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Keywords | 前方後円墳 / 倭国王 / 2王並立 / 相似墳 / 年代論 / 生前造墓 |
Research Abstract |
A.倭国王墓の2系列併存と2王並立の確定においては、【A-1】倭国王墓の検討として、倭国王墓の測量図のデジタル化をほぼ達成した。また、平成22年度実施の津堂城山古墳の測量成果をリーフレットにまとめ公表した。デジタルデータ化した陵墓図のデータについては、復元を試み3D化の作業を継続しているが、なお未完である。倭国王墓の系列の検証では、これまで未検討であった5世紀後葉から6世紀の今城塚古墳までについて分析し、学会ではないが発表する機会があった。さらに河内大塚山古墳について分析を進め、今城塚-河内大塚山-五条野丸山古墳の系列関係を論文で発表した。 【A-2】の相似墳の検討においては、200m級の巨大前方後円墳の測量調査を計画していたが、これについては実施できなかったが、柏原市松岳山古墳についての測量調査を平成22年度に引き続き実施し、ほぼ完了することができた。これについても現在、リーフレットを作成し、いち早く成果を公表する予定である。 B.倭国王墓の被葬者の特定においては、古墳時代中期の年代観をもとに、未検討であった5世紀後葉から6世紀の古市古墳群末期までを含む、古市・百舌鳥古墳群の主要古墳について、被葬者を特定する作業を実施し、一定の結論に到達した。なお、これに関連して、6世紀における横穴式石室墳場合、石室の型式学的な年代順はほぼ共通理解にあるものの、年代観に大きな相違があり、古墳時代から飛鳥時代にかけての歴史的展開を考える上で大きな問題となっている。これについては、型式学的な分析とともに、被葬者が蓋然性高く推定できる標式古墳の石室の年代を没年に引きつけて考えている点に問題があり、大化の薄葬令以前は伝統的な生前造墓であり、石室の型式が被葬者の活躍期を示すと考えることで問題を解決できると考え、こうした新たな見方にもとづく年代観を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
陵墓図のテジタル化作業などの倭国王墓の資料整備といった基礎的作業は進んでおり、これを承けて、被葬者についてもかなり蓋然性のある特定ができている。ただし、2王並立をより確かなものにする点においては、基礎的な検討を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は最終年度にあたるため、目標に掲げた資料整備を完遂するとともに、2王並立を確かなものにする目標を明確にし、性格の異なる王の並立を示す文献的根拠を整理し、また考古学からみて、前期において副葬品等から判断できる性格差が、中期にどのように引き継がれるのかそうでないのか、問題を絞って追求し、成果を取りまとめる。
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Research Products
(3 results)