2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22320162
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Research Institution | Tohoku University of Art and Design |
Principal Investigator |
安齋 正人 東北芸術工科大学, 東北文化研究センター, 教授 (60114360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 正宏 東北芸術工科大学, 芸術学部, 講師 (20431877)
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Keywords | 縄紋文化 / 気候変動 / 生態系史 / 東北アジア / 新石器文化 / 縄紋時代早期 / 縄紋時代晩期 |
Research Abstract |
本研究では、縄紋時代1万年間の東北地方・関東甲信越・北海道、さらに対岸の沿海地方・アムール下流域を含めた広域を視野に入れ、「構造変動」(環境と人文・社会の関係性)という視点から、縄紋文化・縄紋社会の安定期と変動期が自然環境の変化とどう関係したのか、を解明する。今年度は、完新世の寒冷化イベントのなかでも、8.2kaイベント(縄紋早期)、2.8kaイベント・(縄文晩期)に注目し調査・研究を進めた。研究の具体的内容とその成果は、以下の通りである。 (1)長畑遺跡における発掘調査と調査成果の分析研究:月布川流域に位置する山形県大江町長畑遺跡の発掘調査を通して、2.8ka寒冷化イベントにおける縄練晩期の東北地方南部山間地域の環境適応、対外交渉の実態を捉えようとした。8~9月に試掘調査奪行い、晩期中葉・大洞C1式期の遺構・遺物集中地点の存在を確認した。3月にその成果を概要報告書として刊行した。次年度に本調査を実施する予定である。 (2)ゴリン川上流域における現地調査:アムール下流域における新石器時代前期~中期初頭(ca.10,000-7,500BP)の遺跡情報を蓄積するため、過去に良好な結果が得られているコンドン遺跡の出土資料を観察し、ゴリン川流域で遺跡踏査を行った。その結果、石刃石器群・磨製石鍛と条痕文系土器群を伴う段階が8,000BP前後に広がった可能性があると判明した。これまで未詳であった時期の実態に迫るために重要な情報を得ることができた。 (3)公開シンポジウム「縄紋時代早期を考える」の開催:12月17・18日に東北芸術工科大学で、日本各地の研究者を招き、8,2ka寒冷化イベント前後にあたる早期の様相を解明するためのシンポジウムを開催した。アムール下流域・北海道・東北・関東し南九州の遺跡情報と、植生・植物利用史研究の情報を共有し、問題点の整理を行った。これにより、最新の調査研究成果にもとづく議論が、初めて可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
長畑遺跡の発掘調査では、縄紋時代晩期・大洞C1~A1式期の遺構・遺物が、極めて良好な状態で残っていることが判明した。今年度は、放射性炭素年代値が特に不足している大洞C1式期の遺物組成・年代を、提示することができた。他の実施項目については、当初の計画通り、順調に成果を出している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に設定した研究計画は、順序の入れ替えはあるが、予定通り進められている。次年度、野外調査総括を担当する研究分担者が、東北芸術工科大学から東京大学に異動することになった。そのため、次年度以降は、調査・分析の拠点を東京大学に移し、本研究の研究内容をより深めるための研究体制をつくる必要がある。
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Research Products
(3 results)