2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブルガリア・デャドヴォ遺跡の資料分析を通して見る青銅器時代開始期の背景
Project/Area Number |
22320163
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
禿 仁志 東海大学, 文学部, 教授 (10186009)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | ブルガリア / 前期青銅器時代 / 集落構造 / 編年 / 暦年代 / 粘土分析 / フリント / 発掘調査 |
Research Abstract |
今回の研究は、ブルガリアおよびその周辺地域で大きな文化変容を示すとされる青銅器時代開始期の具体的様相を、上トラキア平野中の1遺跡テル・デャドヴォの発掘資料を通して検討することであった。分析テーマとしては多数の詳細な年代測定を基礎とした編年の確立、集落構造の把握、ヒトとモノの動きを土器や石器等の素材研究を通じて復元することであり、3か年の研究でこれらの課題解明に迫る糸口を得ることができた。 具体的分析成果は以下のとおりである。1)年代測定について:炭化物試料42点のAMS年代測定により、①デャドヴォ遺跡は前5千年紀後半の後期銅石器時代から約1千年間の居住断絶がみられたこと、②前4千年紀後半に小規模な居住再開がみられたが、③本格的な青銅器時代居住は前4千年紀末から前3千年紀初頭にかけて始まり、その後少なくとも500年間継続したこ、2)集落構造について:①集落縁辺部の一部に外界との境界を示す溝が巡っていたこと、②集落内街路に沿って一つの居住単位を示す住居群がまとまって存在し、それらは世代を超えて継続する傾向が認められたこと、3)素材研究について:最も一般的な土器は遺跡東方4kmの丘陵より得られた粘土を素材として製作されたが、②建築に用いられた粘土は遺跡のごく近在の粘土が利用されたらしいこと、③石器製作の代表的素材フリントは遺跡の北方150km程のブルガリア北部よりはるばる将来されたらしいこと、④金属器3点の成分分析では、真正の「青銅器」は認められなかったこと、青銅器の一般的普及はかなり遅れたとの通説を裏付けることになったこと、4)環境・生業復元について:①ヒツジ/ヤギの飼育とオオムギの栽培が主要な生業と考えられたこと、②落葉高木・低木が遺跡周辺にみられ、建築材・燃料材として 利用されていたこと。以上の諸点が考古資料・採取試料の分析で明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|