2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国における企業合併・買収制度の成立及び運用状況に関する法史学的研究
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22330002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松原 健太郎 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (20242068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 力 北海道大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (70401015)
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Keywords | 中国法 / 会社法 / M&A / 法制史 / 社会構造 |
Research Abstract |
23年度には、22年度に或る程度整えられた研究環境と問題設定とを基礎に、幾つかの具体的な成果の公表と、更なる議論の深化に向けて海外の研究者と討議が行われた。 具体的な調査の局面においては、松原と石本茂彦(研究協力者。森・濱田松本法律事務所パートナー)の両名が、中国でのM&A実務に関わる幾つかの日本企業を対象として、中国における各レヴェルの政府及び裁判所との関係の中で如何なる実務上の問題が生じ、如何なる戦略が取られているか、ヒヤリングを行った。この成果の一部を松原が、2012年2月8日にコロンビア大学の研究会において報告している。 M&Aをめぐる法的諸問題の社会的基層を対象とする歴史研究については、23年度中に松原が英文の論考二篇(下記「研究発表」参照)を公表した外、4月にフランス極東学院台北支部において招待報告を行なっている。これらの論考及び報告においては、伝統中国における団体・企業体形成(更にはそれらをめぐる地域社会編成)と財産保有諸制度との関係について論じている。 更に23年度にはヴェトナムとの比較という視点からの研究が開始された。5月にフランス国立海外資料館においてフランス植民地資料の調査を行った上で、7月にヴェトナム漢喃研究所と香港中文大学の研究者達と協力してヴェトナム北部の村落社会・地元企業につき現地調査を行った。 9月からは松原が東大-イェール・イニシアティヴ主担当教員としてイェール大学に滞在しており、イェール大学及び従来より交流を有するコロンビア大学の研究者達と本研究関連の討論・意見交換を行なっている。これを踏まえイェール大学China Law Center、コロンビア大学で中国国有企業の研究を進めるCurtis Milhaupt教授等と、石本・川村を交えて共同の会議・ワークショップの開催が目指される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英文論考が順調に出版できた外、23年度前半までに松原・石本・川村の間の議論が一定程度進展したため、23年度後半松原が渡米してからもこれを踏まえて現地研究者との議論・交流が進んでいる。またヴェトナムとの関連で当初予定していなかった香港中文大学の旧知の研究者達との共同作業が可能となり、これにより調査がスムーズに進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
中国に進出した日本企業に対する調査を続行して英文の論考にまとめる作業を進める外、日米共同でのワークショップの開催、またヴェトナムでの調査の進展を目指す。また本年度公表したものを補完する、歴史的基層について準備中の別の論考についても早期の公表を目指す。
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Research Products
(4 results)