2012 Fiscal Year Annual Research Report
司法取引に関する先進諸外国の実態調査とわが国への導入可能性に関する総合的研究
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22330025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水谷 規男 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (20211584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹倉 香奈 甲南大学, 法学部, 准教授 (00516982)
山口 直也 立命館大学, 法務研究科, 教授 (20298392)
上田 信太郎 岡山大学, 法務研究科, 教授 (50243746)
緑 大輔 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50389053)
岡田 悦典 南山大学, 法学部, 教授 (60301074)
京 明 関西学院大学, 司法研究科, 准教授 (90513375)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 司法取引 / 裁判員裁判 / 訴追裁量 |
Research Abstract |
海外調査については、平成23年度までにイギリス、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、韓国について調査を実施したが、平成24年度は、これまでに調査できなかった事項を明らかにするため、アメリカ、イギリスについて重ねて訪問調査を行った。このうち、アメリカについては、弁護士に対するインタビューを中心とし、死刑事件を含む重大事件の処理のあり方について調査を行った。イギリスについては、自己負罪型の取引について、明文化された基準によって行われていることを知ることができた。またイギリス調査では、裁判官へのインタビューを実施できたことが大きな収穫である。この裁判官へのインタビューを通じて、イギリスで司法取引が活用されるようになった理由の一端が、検察官が捜査に直接関与しないこと、そのため、立証に不安があり、公判に時間と労力がかかると予想される事案が取引の対象になりやすい、ということにあるのではないかとの有益な示唆を得ることができた。 平成24年度はこのほか、研究の取りまとめと成果の発表に向けた活動を行った。このため、全体研究会を開催し、これまでの海外調査の成果を共同研究者間で共有した。また、24年度には、研究分担者がオーガナイザーを務めて、刑法学会のワークショップ「裁判員裁判時代における訴追裁量」が行われた。このワークショップでは、検察官の当事者性をめぐって活発な議論が行われ、本研究の取りまとめに向けての有益な示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度までの3年間で、海外調査については、イギリス、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、韓国について調査を実施することができた。調査未実施の法域も若干残っているが、おおむね順調に調査を実施してきている。また、これらの海外調査を踏まえ、平成25年度のはじめには、研究代表者を含む5名の報告者を立てたミニシンポジウム(6月1日開催の比較法学会)を予定しており、研究成果の取りまとめに向けた活動も進めつつある。したがって、平成25年度までの計画期間終了までには、研究成果の取りまとめができる見通しがほぼついている。
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Strategy for Future Research Activity |
司法取引については、法制審議会特別部会において、制度導入に向けた議論が進行中であるので、日本における立法化の動きも見据えつつ、この分野での比較法研究の意義を再検討するようにしたいと考えている。
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Research Products
(13 results)