2012 Fiscal Year Annual Research Report
政策形成プロセスに着目した知的財産法政策学の実践的な提言
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22330036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 善之 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20197586)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 知的財産法 / 特許法 / 著作権法 |
Research Abstract |
総論研究の面では、「muddling throughとしての知的財産法政策学」という構想を具体化した。法学の世界では、法概念というメタファーを用いて本来は等しくないものを等しく扱っているに過ぎないかの如きフィクションを作り出すことで、漸進的なトライ・アンド・エラーが可能とされている。ところが、そのようなメタファーの選択には、逆に人々の社会を見るものの見方を規定するという認知バイアスの問題がつきまとう。本研究では、このような認知バイアスを逆手にとって、政策形成過程のバイアスに対抗しうるような認知バイアスを採用することで、政策バイアスを少しでも中和するという方策が望まれることを明らかにした。具体的には、知的財産権に関しては、情報や無体物に対する権利という政策形成過程における強者に有利となるバイアスを喚起するメタファーよりは、むしろ知的財産権は他者の行為の自由の制約であるとみるメタファーのほうが望ましいことを提唱した。 各論の分野では、田村・鈴木・中山の3名で、工業所有権法学会のシンポジウムにおいて、上述のような行為規制としての特許権をイノベーションに即したものとするための特許制度のあり方を探求し、差止請求権の制限、無効審判制度と侵害訴訟における無効の抗弁というダブルトラック制度を存置すべきことなどを提言した。また、田村が、著作権法学会のシンポジウムを利用して、著作権者の声は届くがユーザーの声が届かないという構造的な政策形成過程のバイアスを矯正するために、裁判所限りで著作権に風穴を開けるフェアユースの導入を強く推進するとともに、そのような対応に限界がある孤児著作物問題に関しては、米国で廃止された更新登録制度の見直しという方向性を打ち出した。 こうした成果は、様々の媒体で公表したほか、海外のものを含む各種シンポジウムなどの多数の機会を活用して国際的な発信を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(51 results)