2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330040
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
高倉 成男 明治大学, 法務研究科, 教授 (00440165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 信弘 明治大学, 知財戦略機構, 特任教授 (40009816)
熊谷 健一 明治大学, 法務研究科, 教授 (20264004)
金子 敏哉 明治大学, 法学部, 講師 (20548250)
鈴木 利廣 明治大学, 法務研究科, 教授 (10386419)
棚橋 祐治 金沢工業大学, 工学研究科・知識創造システム, 教授 (80298702)
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Keywords | 知的財産法 |
Research Abstract |
23年度は、特許制度と他の公共政策との抵触問題のうち、特に生命倫理、遺伝子特許、公衆衛生に関係する問題に焦点をあてて、23年3月8日に明治大学において、日米欧の専門家をメンバーとする国際会議を開催した。この会議には、欧州特許庁のライフサイエンス担当の審査長を基調講演者の一人として招聘し、昨年11月の欧州司法裁判所の生命倫理に関する判決(受精卵の破壊を直接の構成要件とする発明でなくても、過去に受精卵を破壊することによって得られた幹細胞を利用する発明は生命倫理に反するとされた事例)の報告を受け、また米国特許商標庁の前の特許局長からは、当時米国最高裁に係属中(その直後に結審)の2つの重要事件(自然界から単離した遺伝子の特許性に関する事件、および病理現象に基づく投薬方法の特許性に関する事件)についての報告を受け、これらの報告を参考にしつつ、国内の様々な分野の研究者(科学者、医事法(民事)、医事法(刑事)、知財法、米国法)及び国際機関の専門家(世界知的所有権機関)の間で今後の我が国の法律及び政策の在り方について幅広く検討を行った。この会議には約300名の聴衆が参加した。会議の概要については、近く明治大学の下記のウェブページで公表する予定である。 研究代表者の高倉は、この会議の直後(3月18日-25日)に米国を訪問し、国立衛生研究所(NIH),特許商標庁を訪問し、上記2つの米国最高裁事件等に関する情報収集と意見交換を行った。その内容については、24年度中に論文としてまとめる予定である。また、研究分担者及び連携研究者をメンバーとする定例の研究会は、一昨年6月以来、15回開催(23年度において7回開催)し、研究内容を深め、また研究者ネットワークを拡大している。この研究会の内容は、財団法人知的財産研究所の協力を得て同法人の季刊誌に発表することにする方向で調整を進めているところである。さらに、連携研究者の田上は、伝統的知識の保護に関する国際動向について調査研究を継続的に実施し、その成果が報告書又は論文誌の形で公表されている。 以上のように現在のところ、当初の「研究の目的」に沿った研究活動がほぼ「実施計画」のとおりに進められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の最も重要なプロジェクトであった「特許制度と公共政策に関する国際コンファレンス」が予定通り開催され、米欧の最新の状況と今後の展望が明らかにされたことは大きな成果であった。この会議では途上国のプレゼンスに欠けるところがあったが、この点については、パネリストとして参加した世界知的所有権機関の東京事務所の夏目氏から概観的な報告をいただくことによっておおまかに補完できたものと考える。以上のことから、プロジェクトはほぼ順調に進展していると自己評価しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(24年度)は、23年度までの調査研究の成果を論文又はウェブページのコンテンツとしてとりまとめ、学外・世界に向けて発信していくとともに、今後の我が国の法政策の在り方を具体的にデザインしていくことを目途として、当初の実施計画に沿って、「知的財産政策ラウンドテーブル」と題する政策討論を本年11月に明治大学で開催する予定である。この会合には各省庁の政策担当者に参加していただく方向で準備を進める予定であるが、諸般の事情で参加できない省庁担当者があるときは、関連する公的機関(公益法人等)の専門家による代理参加を対応策とすることを考えている。
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