2010 Fiscal Year Annual Research Report
「1968年」と現代デモクラシーの形成に関する比較政治学的研究
Project/Area Number |
22330045
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
野田 昌吾 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50275236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安野 正明 広島大学, 総合科学部, 教授 (80202365)
畑山 敏夫 佐賀大学, 経済学部, 教授 (10180887)
神谷 章生 札幌学院大学, 法学部, 教授 (60269719)
小沢 弘明 千葉大学, 文学部, 教授 (20211823)
堀江 孝司 首都大学東京, 大学院・人文科学研究科, 准教授 (70347392)
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Keywords | 「1968年」 / 政治文化 / 1960年 / 1970年代 |
Research Abstract |
本年度は、過去の共同研究の総括を行うとともに、その後の研究のフォローならびに研究資料の収集などを中心的に進めた。共同研究会は合計3回行った。まず第1回研究会で、過去の共同研究の到達点と今後の課題について討議し、本共同研究の方向性について検討・確認した。第2回研究会では、近年刊行された日本並びにフランスの68年研究のフォローを行うとともに、当時の運動経験者からの聞き取りも実施した。第3回研究会では、東欧諸国における68年に関する研究のフォローを実施した。 その成果の一部は、野田昌吾「『1968年』研究序説」として公表されたが、従来の68年研究の視野の偏り(運動中心、当事者の視点中心、地域的バイアスなど)が確認されるとともに、当該社会の政治社会的コンテクストのなかに位置付けて理解しないことには「68年」の性格やそのインパクトの違いは解明できないこと、さらに言えば、その前後の時代に時間的射程を延ばして初めて「68年」の意味や位置価も理解できることなどが確認された。 また、近年の「68年」研究では、文化主義的解釈が定着しつつあるが、そうした解釈は、そもそも闘争の敗北とその影響力の喪失に伴って現出したものであり、いわば政治的敗北の代償としての性格を強く持つものであり、しかも、「68年」の社会政治的側面を視野から排除するものであるという問題性をはらんでいる。このような「68年」解釈をめぐる政治学も重要な分析焦点となることが確認された。
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Research Products
(14 results)