2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330090
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
千田 亮吉 明治大学, 商学部, 教授 (80179944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 知明 明治大学, 商学部, 准教授 (00440206)
畑農 鋭矢 明治大学, 商学部, 教授 (00303040)
塚原 康博 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (00207341)
加藤 久和 明治大学, 政治経済学部, 教授 (90409491)
溜川 健一 明治大学, 商学部, 講師 (80402494)
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Keywords | 経済政策 / 経済統計学 / 地域関連 / 動学的一般均衡 / DSGEモデル |
Research Abstract |
平成22年度は、先行研究のレビュー、多地域を含まない動学的確率的一般均衡モデル(以下DSGEモデル)の構築、医療、社会福祉など財政に関わる各項目についての実証分析を中心に研究を進めてきた。その結果を受けて、平成23年度は、まず複数地域を考慮したDSGEモデルの構築を開始した。政策が有効になるための条件について考察を行なった。また、DSGEモデルの拡張や財政政策の効果などをテーマとして、6回のワークショップを開催し、年度末にはコンファレンスも開催した。これらのワークショップおよびコンファレンスによって、当該分野における最新の動向を把握することができた。 DSGEモデルについては、千田が多地域開放経済モデルも含めて財政政策の効果に関するレビューを行なった。わが国のデータによる観察事実からは財政政策は有効であるが、標準的DSGEモデルでは財政政策が有効にならないためモデルの定式化に工夫が必要なことを明らかにしている。溜川は複数地域を含むDSGEモデルを構築した。このモデルは本研究課題で今後作成するDSGEモデルのプロトタイプになる予定である。また、山田は個票データから得られる情報を用いてわが国における地域間、地域内のリスクシェアリングについて観察し、そのような観察事実が異質な経済主体を含むDSGEで再現できるかどうかを検討している。 また、山田、加藤は所得格差、世代間格差と再分配政策に関する検討を行い、塚原は医療分野を中心にした分析を行なった。畑農は地域間連携に関する研究をすすめ、福田も溜川とともに本格的な多地域DSGEモデル構築の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワークショップ、コンファレンスの開催を通してDSGEモデルおよび地域経済への財政政策の効果に関する先行研究のレビュー等はほぼ終了した。また、平成23年度には複数地域を含むDSGEモデルのプロトタイプが開発された。また、財政政策を行なうときの重要な視点となる所得格差、世代間格差に関する分析も行なわれている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は多地域DSGEモデルの構築が研究の中心となる。同時に地域経済に対する財政政策の役割についても考察を進める。 複数地域を含むDSGEモデルの本格的な構築に当たっては、地域をどのように設定するのかという点が大きな論点になる。行政区域と視点がまず考えられるが、モデルを不必要に複雑にしないためには地域の数をある程度限定する必要があり、行政区域ではなく産業構造や人口構造などの特徴によって地域を区分する方が望ましい。これまで行なってきた財政政策や地域経済に関するレビューや分析に基づいてまず地域をどのように定義するかを決定する。地域が定義できれば、地域内をどのようにモデル化するか、地域間の連携をどのようにモデルに組み込むのかといったモデル構築の根幹部分の作業を進めることができる。
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