2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330090
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
千田 亮吉 明治大学, 商学部, 教授 (80179944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 康博 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (00207341)
畑農 鋭矢 明治大学, 商学部, 教授 (00303040)
山田 知明 明治大学, 商学部, 准教授 (00440206)
溜川 健一 明治大学, 商学部, 講師 (80409424)
加藤 久和 明治大学, 政治経済学部, 教授 (90409491)
福田 慎 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (90573957)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経済政策 / 経済統計学 / 地域連関 / 動学的一般均衡 / DSGEモデル |
Research Abstract |
平成24年度には、福田・溜川(2013)がDSGEモデルに関するサーベイ、千田(2012)が財政政策に関するサーベイを行った。また、平成24年度に開催した7回のワークショップとコンファレンスにおいて報告されたDSGEモデルや財政に関する最新の研究成果を通じて、本研究課題に必要な情報を収集した。この結果、DSGEモデルに基づく財政政策の評価のためにどのような特徴をもつモデルが望ましいのかという点について、ほぼ方針を固めることができた。 モデルの構築に関しては、Tamegawa(2012,Journal of Statistical and Econometric Methods,Theoretical Economics Letters)でDSGEモデルの特性に関する分析が行われた。財政政策の効果についてはTamegawa(2012,Economics Bulletin)でDSGEモデルにおける財政乗数が分析された。地域モデルについてTamegawa(2013,ISRN Economics)で小規模地域DSGEモデルが構築された。このモデルは今後の本研究課題の基礎となるモデルである。また、山田(2012)は地域間、地域内のリスクシェアリングに関する分析を行った。 わが国の財政に関する個別分野の課題については、加藤(2013)が社会保障を扱っている。また、塚原(2012)は特定産業の波及効果に関して産業連関表を使った分析を行った。 以上の研究実績によって、平成25年度に予定されている本格的な多地域DSGEモデルの構築のための準備は整った。地域の異質性をどのようにモデルに反映させるのか、地域間の連関をどのように特定化するのかという点が大きな課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DSGEモデルの構築については溜川、福田を中心に開発が進んでいる。平成24年度には溜川によって小規模地域DSGEモデルが構築されていて、このモデルが今後のモデル構築の基礎となる。財政政策の効果については、先行研究のサーベイやワークショップでの報告、DSGEモデル以外の手法を用いた分析を通じて、DSGEモデルの特性との関連が明らかになった。財政政策を評価するうえでどのような特徴をもつモデルが有効なのかという問題はほぼ解決した。 財政、特に地方財政に関する諸問題についてもいくつかの研究成果が得られている。今後は、これらの成果をモデル構築にどのように取り入れていくのかという問題を解決することが必要になる。特に地域の異質性をモデルに反映させることが重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、本研究課題の最終目標である多地域DSGEモデルを構築する。 前年度までの研究で、多地域モデルでは地域の異質性をどのようにモデルに反映させるかが最も重要な課題であることが明らかになった。畑農・山田は地域の異質性のモデル化に関して、データに基づく実証分析を積み重ね、最終的にいくつかの代替的なアプローチを提案する。加藤・塚原は現実の財政制度を反映した財政部門のモデル化を進め、財政政策の効果についての準備的検討を開始する。ここで得られた個別の実証的成果はこれまでと同様に各担当者の業績として発表される。 千田・溜川・福田は上述の成果をモデルに反映しながら、プログラミングを進める。前年度までの研究で、標準的DSGEモデルでは財政政策の影響は社会資本ストックの生産力効果を通して最も強く現れること、社会資本ストックを考慮しない場合には極めて小さな効果しか現れないことが明らかになった。予備的なVARモデルによる分析では財政政策は実質賃金の増加を伴う景気拡大効果が見られるので、そのような性質を持つDSGEモデルを構築する必要がある。そのために、関連研究に注意し、DSGEモデルの最新動向を把握しておくことは重要である。 この期間の作業には新奇な部分も多く、手探りで進行する可能性が高い。そのため、必要に応じてワークショップを開催し、内外の研究者の報告を聞き、モデル構築の参考としたい。また、これまで3回開催したコンファレンスは、今年度以降は研究成果を発表する場と位置付け、暫定的な成果を発表する予定である。
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Research Products
(12 results)